新潮文庫<br> 女の一生

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新潮文庫
女の一生

  • ISBN:9784102014011

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内容説明

修道院で教育を受けた清純な貴族の娘ジャンヌは、幸福と希望に胸を踊らせて結婚生活に入る。しかし彼女の一生は、夫の獣性に踏みにじられ、裏切られ、さらに最愛の息子にまで裏切られる悲惨な苦闘の道のりであった。希望と絶望が交錯し、夢が一つずつ破れてゆく女の一生を描き、暗い孤独感と悲観主義の人生観がにじみ出ているフランス・リアリズム文学の傑作である。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

282
モーパッサンは、やはり本質的には短篇作家なのだと思う。本書は長編小説だが、そこには一人の女の人生を描くという以上の構想はない。しかも、主人公のジャンヌ自身にも人生設計や夢は何もない。ただ、ひたすら受動的に運命に流されていくだけだ。そこに、この小説の最大の特質があり、またそれこそが長編小説として特異な成功を導いたのだ。1819年に幕を開けるこの小説は、ジャンヌの一生と3代にわたる一族の運命の変転を描きつつ、それは同時に没落してゆく貴族階級の崩壊の姿でもあった。物語の舞台はノルマンディの片隅に終始するのだが。2015/02/22

遥かなる想い

229
ジャンヌという女性の一生を描いた物語である。純粋 素朴なジャンヌの心のあり方は、 今読んでも 清々しい。未来を夢見た乙女は ジュリアンとの結婚により、現実を知る。 出会いから 結婚、裏切り そして 出産 子供の成長… ひどく受身だが 精一杯生きた ジャンヌの一生を丹念に 描いている、そんな印象の作品だった。2018/04/13

yoshida

164
高校以来の再読。貴族の娘ジャンヌの少女時代から老いる迄を描く。以前に読んだ時は自分の一生に不幸は無かろうと思い、世間を知らないと大変だなと感じた。今、読み返すと夫婦間の愛情の冷え込みや、甘やかせて育てた子の哀しさは現在も共通すると感じた。ジャンヌと両親はとても善良な人々だけに、家が没落する様は哀しい。ジャンヌも結婚相手はじっくり選べば人生も変わっただろう。私も人生色々とありましたが、悲観せずに前向きに人生を切り開こうと思いました。過去ばかり振り返らず、未来を向いて。何年かしたら本作を読み返そうと思います。2017/08/15

ykmmr (^_^)

160
『女の一生』は派手で儚い。若い頃は皆、それだけで美しく、周囲に対しても、1つの『自信』からか、上から目線となり、辛辣・傲慢さが際立つ部分が見られるが、年齢を重ねて「老い」を自覚した時、若い頃に自分が人にむけていたものを、「受ける立場」となり、その理不尽さ・儚さ・虚しさを主人公として描かれ、読者に強い印象を与える。対照的な『女の一生』を送った叔母がまた、物語に含みを持たせる。そんな彼女たちを筆頭に、善悪を超越した、「ありのまま」の姿。2022/11/06

のっち♬

132
修道院を出た清純なジャンヌは結婚を皮切りに不幸を次々と経験する。夫、母、息子に裏切られ家まで手放し、神を呪って過ごす日々。そのドライで突き放したような筆致には、著者の悲観主義な人生観と共に、女性へのコンプレックスがサディズムとなって現れているかのようだ。男に裏切られながらも逞しく生きる下女と巧みに対比させ、ノーマンディの自然が端正な文体で描かれている。彼女は運がないのか?しかし「そうしなくちゃならない人間は世の中にはたくさんいる」のだ。「世の中って、ねえ、人が思うほどいいものでも悪いものでもありませんね」2019/03/20

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