幻の光

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幻の光

  • 著者名:宮本輝【著】
  • 価格 ¥605(本体¥550)
  • 新潮社(2013/10発売)
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  • ISBN:9784101307015

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内容説明

人は精がのうなると、死にとうなるもんじゃけ――祖母が、そして次に前夫が何故か突然、生への執着を捨てて闇の国へと去っていった悲しい記憶を胸奥に秘めたゆみ子。奥能登の板前の後妻として平穏な日々を過す成熟した女の情念の妖しさと、幸せと不幸せの狭間を生きてゆかねばならぬ人間の危うさとを描いた表題作のほか3編を収録。芥川賞受賞作「螢川」の著者会心の作品集。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ehirano1

129
標題作について。妖しくもなんだか美しい美しい抒情でした。人生の哀しさを幻として輝く描写にガッツリ吞まれます。現実ってやっぱりキセキだ!、そう想わされます。2023/06/30

zero1

129
【なんであんたは自殺したんやろ】夫を失った女性が再婚後、静かに語りかける表題作。短い中に生と死、情景を表現できる輝の短編集を再読。描かれているのは【死への誘惑】なのか?それは違う。喪失の後にある再生こそ輝が描きたかった。表題作と「夜桜」で生理が出てくるのも【それでも、人は生きる】という表現。火照りはホットフラッシュだろう。「こうもり」と「寝台車」も収録。飛行機や新幹線でなく夜行列車は考える時間がある。現代には珍しい世界がとても懐かしい。芥川賞受賞後、昭和54年の作品たちだが色褪せていない。2019/11/14

mariya926

123
4つの短編集に共通しているのが死です。何かの拍子に近くにいた人の死を思い出し、今現在の自分に結びつけていきます。『幻の光』では3か月の乳飲み子を置いて自殺してしまった夫、『夜桜』では事故でなくなってしまった息子、『コウモリ』では同じ学校だったランドウ、『寝台車』ではカツノリ君。フットした時に思い出す亡くなった人たち。『幻の光』ではなぜ今の夫が主人公の居場所を分かったのかを知りたかったのにそこはスルーで終わってしまいました。ミステリーだったらちゃんと回収されているのに。そこが少し残念でした。2019/08/30

遥かなる想い

118
ひとり残された主人公の「地団駄踏む」ような思いという表現が今でも記憶に残る。清冽な小説である。2010/05/09

かみぶくろ

101
暗くうねる日本海を背景にした、原因不明の自殺で夫に先立たれた女性のグリーフワークの物語。宮本輝さんの人間を見つめる過不足ない叙情が素敵だ。強い人も弱い人もいてみんな生きてる。ときおり「精が抜けて」光(死)の方にふらふらと引き寄せられる人もいる。そんな人間の儚さを前にして、今日も海はただそこに在り、轟くだけだ。その直中で、人間は死者に語り続けることで喪に服す。そこには本来的に連関も意味もない。死を招く光も、負の意味を帯びるものではない。そこには硬質で美しい世界と、苦悩する人間が在るだけだ。2015/07/20

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