内容説明
人は精がのうなると、死にとうなるもんじゃけ――祖母が、そして次に前夫が何故か突然、生への執着を捨てて闇の国へと去っていった悲しい記憶を胸奥に秘めたゆみ子。奥能登の板前の後妻として平穏な日々を過す成熟した女の情念の妖しさと、幸せと不幸せの狭間を生きてゆかねばならぬ人間の危うさとを描いた表題作のほか3編を収録。芥川賞受賞作「螢川」の著者会心の作品集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ehirano1
153
標題作について。妖しくもなんだか美しい美しい抒情でした。人生の哀しさを幻として輝く描写にガッツリ吞まれます。現実ってやっぱりキセキだ!、そう想わされます。2023/06/30
zero1
153
【なんであんたは自殺したんやろ】夫を失った女性が再婚後、静かに語りかける表題作。短い中に生と死、情景を表現できる輝の短編集を再読。描かれているのは【死への誘惑】なのか?それは違う。喪失の後にある再生こそ輝が描きたかった。表題作と「夜桜」で生理が出てくるのも【それでも、人は生きる】という表現。火照りはホットフラッシュだろう。「こうもり」と「寝台車」も収録。飛行機や新幹線でなく夜行列車は考える時間がある。現代には珍しい世界がとても懐かしい。芥川賞受賞後、昭和54年の作品たちだが色褪せていない。2019/11/14
しゅう
138
夫を鉄道自殺という形で失ったゆみ子は、いつも彼の背中に心の中で語りかけている。生まれたばかりの息子を残し逝ってしまった夫。自殺する理由が見当たらないのだ。予兆としてやぶにらみの左目があった。どうして気付いてあげられなかったのだろう……。奥能登の曽々木という海辺の町を舞台に語られる『幻の光』は死の匂いに満ちている。だが、ゆみ子を奥能登へ見送った漢さんや、嵐の海を予見し漁場から生還したとめののエピソードなどがとてもいいアクセントとなって物語を彩っている。ラストの光の描写のなんと美しいことか。それは、妖しい光。2026/01/12
mariya926
127
4つの短編集に共通しているのが死です。何かの拍子に近くにいた人の死を思い出し、今現在の自分に結びつけていきます。『幻の光』では3か月の乳飲み子を置いて自殺してしまった夫、『夜桜』では事故でなくなってしまった息子、『コウモリ』では同じ学校だったランドウ、『寝台車』ではカツノリ君。フットした時に思い出す亡くなった人たち。『幻の光』ではなぜ今の夫が主人公の居場所を分かったのかを知りたかったのにそこはスルーで終わってしまいました。ミステリーだったらちゃんと回収されているのに。そこが少し残念でした。2019/08/30
遥かなる想い
121
ひとり残された主人公の「地団駄踏む」ような思いという表現が今でも記憶に残る。清冽な小説である。2010/05/09
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