講談社文庫<br> 豆腐屋の四季 ある青春の記録

個数:1
紙書籍版価格
¥607
  • 電子書籍
  • Reader

講談社文庫
豆腐屋の四季 ある青春の記録

  • 著者名:松下竜一【著】
  • 価格 ¥1,320(本体¥1,200)
  • 講談社(2014/11発売)
  • ポイント 12pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784061830585

ファイル: /

"Reader"および"Reader"ロゴは、ソニー株式会社の商標です。

内容説明

泥のごとできそこないし豆腐投げ怒れる夜のまだ明けざらん――零細な家業の豆腐屋を継ぎ、病弱な身体を酷使する労働の日々、青春と呼ぶにはあまりに惨めな生活の中から噴き上げるように歌は生れた。そして稚ない恋の成就……60年代の青春の燦きを刻して世代を超えて読み継がれた感動のベスト・セラー!

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

さくら咲く

29
昭和10年代生まれの著者が元々31歳で自費出版をした本。家業の豆腐屋を継がなくてはならなくなったいきさつや4人の弟の内3人の愚行に荒れ果てた家庭を正直に描き自死を選ぼうと思い詰めた場面もある。そんな中での救いは短歌である。数年に渡り朝日新聞に投稿した歌と共に懐古される。苦しい生業の歌ばかりではない。恋の歌もあり成就し家庭を持った喜びも溢れる。その後公刊され、さらに15年後に単行本化されている。その後の人生にまた波乱があったのか?短歌はスパッと止めている。心に迫る一冊であった。2025/04/20

Willie the Wildcat

22
何気ない一日。日々の生活の心情を詠う。著者自身の生き甲斐でもあり、他者の慰みともなる気がする。一方、家族の”痛み”に触れることで発生する家族の”葛藤”。真実故の”痛み”であり、真実故の他者の共感。印象的なのが「妻の小箱」。蕗の薹に見る著者の奥様の心遣い。機械化か・・・。確かに豆腐屋さんって見なくなった気がする。小学生の頃にお使いに行った近所の豆腐屋さんを思い出す・・・。蛇足だが、『鉄道員』。お気に入りの1つ!(笑)2014/02/20

Sakie

15
豆腐屋を継いだ著者は、朝日歌壇に投稿する歌人である。その縁でエッセイもものする。決して余裕のない生活の中で、暮らしに根差した想いたちは、夜業に差す月の光、早暁の冴え冴えとした空気、極寒に大豆を絞る湯気の中にありありと立ちのぼる。生活詠と呼ぶそうだ。俳句を趣味にしていた亡き祖母を想う。遺品からはできた句を書き留め添削したノート、メモ綴じ、裏紙の類が膨大に出てきた。著者と同じ、無学な自営の妻だった。だからこそこの記を愛おしく思うのかもしれない。草木花歳時記数冊と広辞苑のような厚さの大歳時記は私が貰い受けた。2022/12/23

みなみ

7
KindleUnlimitedで読了。豆腐屋を営みつつ歌壇に作品を投稿する主人公。高校を出てすぐの女性を妻にして、虚弱な身体で毎日豆腐づくりに精を出す。機械化されていない時代のつらい肉体労働で、主人公は機械を嫌悪し、安価な大量生産の豆腐に憤りを感じる。細やかな家族との触れ合いの描写がいいのだが、こんなに書いちゃって大丈夫なのかと心配になった(^_^;)冬から始まる四季ごとの章立ては一つひとつが短く読みやすい。季節の移ろいを感じる。2025/03/12

がんぞ

7
豆腐屋(今では「手作り」と断らなくてはなるまい)というのは本当に楽ではない。午前2時に起きて6時頃から作った豆腐を十数カ所に原付で配達する(自動車はキライ)。作りすぎて余る日には(防腐剤は入ってない)捨てねばならないから天気予報で売行きを予測しなければならない。前半では圧迫に重石を用いているので二十代の青年でもその上げ下げで腰痛に悩まされる。戦後、父が石臼で大豆を挽く状態で始めた家業だが、後半「10円のマスプロ豆腐は俺らを殺す(趣意)」というような状況も。彼の何が良くて結婚したのか、引き出物は歌集『相聞』2016/04/22

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/175801
  • ご注意事項