中公新書<br> 胎児の世界 人類の生命記憶

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中公新書
胎児の世界 人類の生命記憶

  • 著者名:三木成夫【著】
  • 価格 ¥770(本体¥700)
  • 中央公論新社(2013/11発売)
  • 中央公論新社 GW特大フェア ポイント40倍!(~5/12)
  • ポイント 280pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784121006912

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内容説明

赤ん坊が、突然、何かに怯えて泣き出したり、何かを思い出したようににっこり笑ったりする。母の胎内で見残した夢の名残りを見ているのだという。私たちは、かつて胎児であった「十{と}月{つき}十{とお}日{か}」のあいだ羊水にどっぷり漬かり、子宮壁に響く母の血潮のざわめき、心臓の鼓動のなかで、劇的な変身をとげたが、この変身劇は、太古の海に誕生した生命の進化の悠久の流れを再演する。それは劫初いらいの生命記憶の再現といえるものであろう。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

うりぼう

80
松丸本舗で、イチ押しだったので思わず購入。さすがの選択。色々な書物で、人は受精してから出産までに生命の歴史を再現するとの記述があったが、その基が、この本。連綿と続く、進化の過程と戸惑いを、私達の一個一個の細胞が知悉している。私もその細胞の塊であることに、奇跡を感じる。感じる意識を持つ人間であるが、故にその意識が邪魔をして生命の叡智を活用することができない。「道(タオ)」である。i-cafeの町田さんは、他人と繋がるためには、「立ち止まれ、自己を観よ」と話された。意識でなく、体の生命記憶と繋がるのである。2010/07/31

keroppi

69
最近、何冊か読んだ三木茂夫。既読の本と内容的には重なるところも多いが、胎児に見える人類進化の記憶を緻密な実験と観察によって見出していくのはスリリングでもある。夢野久作やゲーテも登場してくるし、宇宙との関係を語るところでは、「2001年宇宙の旅」のラストシーンさえ描かれる。「胎児よ胎児よ 何故踊る 母親の心がわかって怖しいのか」と「ドグラマグラ」で綴られたことは、あながち空想だけの世界では無さそうである。2021/05/26

ガクガク

59
胎児成長のわずか数時間、数日の間に、地球生命の膨大な進化の歴史が「生命記憶」として刻み込まれている。まさに生命の不思議、神秘を比較発生学から解き明かす。のみならず地球上のありとあらゆる生物が、「いのちの波」とも呼べるリズムをその体に宿し、壮大な時間・空間の中で全て連関しあって存在していることを、宗教や習俗、習慣など一見何の関わりもないようなこととも関係があることを示してくれる。著者の博識や説明の省略で、後半はついていくのが苦痛だった。深遠なすごい書だと思うが、私自身が本の内容を楽に理解するレベルにはない。2014/05/11

姉勤

29
1983年初版の本書。故に新書的手軽な最新の発生学の授業内容を期待すると、やや肩透かしの印象。卵の胚の成長過程ややヒトの胎児の観察記録など、科学的内容や、生物の進化を誕生までに追体験する示唆的内容もページを割いているが、むしろ生命のロマンや宇宙の深淵さ、ひとを含めた生物の神妙に想いを馳せる情緒を感じに相応しい内容と思う。医学者にしては、叙事より叙情に溢れ、引用される蘊蓄が人によっては煩雑に感じる惧れはある。2021/02/02

zirou1984

29
胎児の世界は10月10日の間に、生物40億年の進化の過程を辿っていく―そんな壮大な話を柳田國男やゲーテの文書を引用しながら、アニミズムと東洋思想に結び付ける。科学的というより詩的、思弁的とすら言える本書の世界には危うさこそ感じるものの、夢野久作的と思えば納得はいく。が、個人的には地道な基礎研究から明らかになった、ちょっとした事実の数々についての方が興味がそそられるのは確か。極小と極大の世界を並走する、何とも悩ましい本。2019/05/03

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