内容説明
バスの中で老人が隣席の若い男に話しかける――わたしは遠くで話す人間の唇が読めますが、この前も男女が心中の相談をしているので警察に知らせたところ、男女は俳優でした、芝居の稽古なのですよ、うっかり信じこめませんな、ですから今し方見た恐るべき相談も本当かどうか……。いろは48文字をタイトルに、才気溢れるショートショート集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
83
久しぶりに都築さんの本を読みかえしました。ショートショートで1編が4頁になっています。「異論派かるた」と「狂訓かるた」に分かれていて前半の方が楽しいものになっています。とくに真鍋博さんの絵が収められています。私は星新一さんのショートショートも好きなのですが都築さんの方が皮肉さが多いような気がしました。2022/10/09
Kira
20
電子書籍。ずいぶん前に『退職刑事』を読んだことのある作家さんのショート・ショート集。各話のタイトルがいろは順に並ぶ「異論派かるた」編と「狂調かるた」編を収録。読んだはしから忘れてしまうのがショート・ショートのよさなのかも。いつ、どこから読んでも気軽に楽しめる。ミステリとSFを手がけた作家さんなので、短いながらも各話のエンタテインメント性は高い。解説は谷川俊太郎氏で、こちらもなぜか、いろは順の段落構成で、ちょっと凝りすぎな感じがした。2024/12/17
TSUBASA
15
いろはにほへと、異論派かるた48編のショートショート+12編の狂訓かるた。前者は1編4ページ、後者は1編2〜3ページの超ショート。ショートショートって短いながらに妙味を持った小噺のようなもので、サクサク面白い小ネタに出会うのにはうってつけ。なのだけど、描写が古めかしいのも手伝って今の自分の気の向き方にはちと合わなかったのが本音。4ページじゃ奇想に出会うのには目まぐるしすぎる。2021/05/19
志摩子さん
9
同じショートショートといっても、やっぱり星新一さんのとは全然趣が違うんですよね。これが作家性というものなのかしら。2017/04/01
てまり
2
電子書籍で読了。真鍋博さんの挿絵付きでした。すばらしい。ショートショートなんですが、SFからミステリからなんでもあり。ほんとに短いのばかりなのに汲めどもつきぬ味わいがあります。時代を経た今読むと、あらためてその言葉遣いの美しさにも驚かされました。2012/01/16