内容説明
軽井沢高原の朝もやの中にうっそりとそびえるバベルの塔。この塔の外側には放射線状に伸びた七つの階段がある。今、怪奇小説で有名な作家大江黒潮とその仲間たちが集い、この塔を利用して仮想犯罪劇を演じていた。殺される役は何と黒潮自身。やがて劇も終ろうとする時突然、あたりに響きわたる凄じい悲鳴が聞こえた。黒潮の声である。驚いた人々が迷路のような階段を登り、展望台に辿り着いた時、そこには黒潮の死体が――。綿密な構成で練り上げた、横溝正史の傑作長編推理!
カバーイラスト/杉本一文
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
Kircheis
97
★★★★☆ 昭和初期に書かれた長編。 迷路のようになった塔、霧深き軽井沢、4本指の怪人、猟奇的な小説、そして入り組んだ男女関係と、ゴシック風味溢れる舞台設定にワクワク。 謎に挑む素人探偵白井三郎もなかなか良いキャラだった。 後の横溝の作風がこの辺りで確立されてきたのが感じられる。 ちなみに一応犯人に結びつく伏線はあったが、ヒントはかなり厳しめで、正攻法で犯人を推理できる人は少ないと思われる。 動機もあまり納得できなかった。黒潮が犯人を殺すなら分かるんだけどね。 2019/10/15
Kouro-hou
13
横溝の連載ではない書き下ろし長篇第1号。長さとしても1932年当時としては大長篇です。内容は横溝自身が編集者として携わった乱歩の「陰獣」にインスパイアされたというか、乱歩モデルの大江黒潮&白井三郎、横溝モデルの語り手、由比耕作らがメインキャラというある意味内輪な人物が、乱歩が愛したトレント&レドメイン的な好意感情で語り手の視界が歪められた世界を演じるというわりと凝った構造だったりします。それが今回成功してるかと言われるとアレなんですが、後年の同ベクトル傑作「真珠郎」の礎にはなっているのではないでしょうか。2014/11/19
林 一歩
11
完成度は決して高くない。だけど愛すべき佳作...といったところか。2012/09/28
よっちゃん
6
横溝正史はすごい。前知識もなく纏めて売りに出されていたセットの中に入っていた一冊。有名な作品以上に内容がすごいしかも驚くことに昭和7年の発刊。あの時代にこれだけの作品が書けたとは恐るべし横溝正史。衝撃を受けてしまった。これだから古本漁りは止められない。読まずに死ねるか!!!!!興奮している自分が居る。2017/05/18
ホームズ
6
横溝正史というよりも江戸川乱歩のような雰囲気でした(笑)解説にもあったけど「耕作」は金田一耕助、「由比」は由利先生を思い出させますね~(笑)どうせならどっちかのシリーズにしてもらったほうが良かったですね~。話としては面白かったんですけどね(笑)2009/11/04
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