内容説明
自らナポレオンの生まれ変りと信じ切っている男、はたまたナポレオンの遺品を完璧にそろえたいコレクター。その両者を引き合わせた結果とは? ダール、スレッサーに匹敵する短篇小説の名手が、卓抜の切れ味を発揮した直木賞受賞の傑作集。第32回日本推理作家協会賞受賞の「来訪者」も収録する。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
遥かなる想い
277
第81回(1979年)直木賞。 ブラックユーモアの名手による短編集である。 表題作は ナポレオンに「狂う」男の物語だが、さすがに上手い。 ゾクッとするような 物語の落ちが 本当に楽しみな 作品群だった。2017/08/20
kaizen@名古屋de朝活読書会
170
直木賞】推理小説のようで恐怖小説。短編13話。ナポレオン狂、来訪者、ともに殺人の臭い。解説の尾崎秀樹が直木賞銓衡委員の評を引用して説明。フランスのエスプリ的な何か。娯楽小説で直木賞は記述の旨さを評価してか。2014/06/04
ehirano1
150
表題作が印象に残りました。「フグのみりん干し」でホンワカさせといてラストで奈落にに叩き込む技法に感服。しかも、それは取って付けたようなものではなく、最初にしっかり前置きがされた上でのことに巧さを感じます。総じて、「巧さ」が光る作品ではないかと思いました。2023/04/08
KAZOO
108
私は何度も読んでいますが、やはり阿刀田さんの作品の中ではかなりの水準ではないかと思われます。ロアルド・ダールも結構読みますが主人公を外国人名にしたら彼の作品でも通る感じです。表題作と来訪者は傑出していると感じています。2015/08/06
優希
81
切れ味は抜群で、スレッサーに似たような鋭さがあります。ブラックな味が人間の欲の中に入っていて最高すぎますね。作品の最期に黒いウィットに富んだオチを持ってくるのは最早職人作家とも言えるでしょう。読んでいてとても楽しくて、ストンと落とす腹黒い感じがたまらなく楽しいです。気味の悪いテンポがまたいいというか。特に直木賞受賞作の表題作『ナポレオン狂』と『透明魚』が面白かったです。この発想はどこから来るのでしょう。初期の奇妙な味を堪能しました。 2014/08/18