中公新書<br> 大君の使節 幕末日本人の西欧体験

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中公新書
大君の使節 幕末日本人の西欧体験

  • 著者名:芳賀徹【著】
  • 価格 ¥792(本体¥720)
  • 中央公論新社(2013/12発売)
  • 中央公論新社 GW特大フェア ポイント40倍!(~5/12)
  • ポイント 280pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784121001634

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内容説明

「西洋世界の挑戦に対してこの国が発した返答」の鮮やかなモデル・ケースとして、幕末日本のエリートの西欧文明に対するさまざまの知的・心理的・感性的反応と外国側の彼らに対する反響を探り出し、一八六二年の遣欧使節団の行動を評価し直す。従来、外交史家にしか顧みられなかった使節一行の諸記録は、ここに初めて興味深い記録文学としての姿を現わす。新文明に接して急激に自己変革を迫られる幕末日本の鼓動を伝える、比較文学徒の労作。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

しずかな午後

11
幕末、江戸からヨーロッパ諸国へ向かった文久遣欧使節。勝海舟率いる遣米使節や、のちの岩倉使節団などと比べると影は薄いが、徳川日本の知識人たちによる最初の西洋体験として、比較文化史上に豊かな意義を持っている。使節一人ひとりへの温かなまなざしに、時に小説的な鮮やかな描写によって、パリ・ロンドン・ベルリンといった各都市を巡る使節の姿がいきいきと浮かぶ。彼らが当地で作った漢詩なども多く引かれていて楽しい。それにしても、この僅か40年度には日露戦争があることを思うと、近代日本の発展のスピードには改めて驚かされる。2024/04/21

ジュンジュン

9
二つの使命(外交交渉と先進諸国の視察)を帯びた、1862年遣欧使節団の足跡を辿る。持ち帰った成果はしかし、激流と化した時代に飲み込まれて、あえなく海の藻屑となった…?歴史的には正しい、それでも著者は意義を見出そうとする。福沢諭吉をはじめとする若い随員の”その後”に、決定的な影響を与えたと。そしてそれは、徳川幕府から明治政府に遺贈されたかけがえない宝物だったと。著者の眼差しは温かい。同じく中公新書の「オールコックの江戸」との併読がお勧め。2021/10/16

筑紫の國造

5
文久2年に欧州に派遣された使節団に注目した、比較文学の好著。単に事実を辿るのではなく、「幕末期の侍たちが欧州という文明国で何を感じたか」に焦点を当てている。使節団が実際に西洋を目の当たりにすることによって様々な反応を示す様は、生き生きとしていて好感が持てる。単に西洋の礼賛に終わるのではなく、あるいはその矛盾点に気づき、あるいは日本人としての矜持を示す様子は、当時の侍たちの教養が相当程度に高かったことを如実に表している。著者の視線も非常に温かみがあり、読んでいて気分がよくなる。2016/09/11

印度 洋一郎

3
1862年、幕府が欧州に開港延期を交渉するために派遣した使節団の残した記録や、現地での報道、記録などを紐解きながら、日本人のヨーロッパ文明へのファーストコンタクトを探っていく。フランスの田園風景に進んだ大規模農業を感じ、イギリスでは躍進する工業を目の当たりにし、色んな民族が入り乱れて暮らすヨーロッパ社会に驚嘆するが、徐々にそれに比べて閉鎖的で後進的な祖国日本への危機意識が育っていく。通訳の福沢諭吉がダントツで洞察力のある記録を残しているが、他の人々も階級や立場によって、色々な捉え方をしていて、大変興味深い2014/03/26

富士の鷹

3
幕末の、幕府遣欧使節団の記録を基にした新書。新興のアメリカに対し、伝統の欧州諸国歴訪における幕末武士の述懐は新鮮である。とりわけ、福沢諭吉[他のメンバーが新技術、文化の表層に驚嘆するにとどまりがちな中、諭吉だけは、その基礎をなすシステムや列強の利害関係などにも興味を示し、その蓄積が明治維新以降のオピニオンリーダーたる地位を築くに至ったという分析]そしてロシアとの樺太領有交渉において現実の力関係を直視せず、かくあるべし論で玉砕した結果、後世の領土問題にも支障を期待したというエピソードに感銘を受けた。2011/05/03

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