内容説明
あたしには二人の変な友人がいる。何かというとすぐに自分の葬式を出す、死に癖のある緑子がその一人。もう一人の汀子は秀才ではあるが、考えることはまったく訳がわからない人間だ。もっとも、あたしにしても普通の高校生とはいいがたい。この三人がそれぞれに恋をした。そして、緑子はその美貌にもかかわらず失恋し、汀子は相手の男性と旅行に出かけ、あたしもやっぱり片恋のままに……。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
さてさて
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『いったいいつの間に、奴に惚れてしまったのだろう。どう考えてもわからない。わからないな』。高校生の日常を送る主人公の多佳子と汀子、緑子の三人の恋模様が描かれるこの作品。そこには、三者三様に恋に悩む女子高生の姿が描かれていました。今から43年も前、1981年刊行で、現代ではあり得ない煙草やアルコールの記述にギョッとさせられるこの作品。登場人物たちの弾けるパワーに圧倒されるこの作品。“実に、美しい日々だった。うん”と〈あとがき〉を締め括られる氷室さんのリアルな高校生活の勢いを物語の中に見た、そんな作品でした。2024/05/09
コータオ
8
これも読んだのは随分前。氷室冴子愛が強いので、「海がきこえる」を夏の100冊に入れてほしい!、と思ったら新装徳間文庫だった。(アニメ化時、ジブリ若手のために、太っ腹の徳間さんが買った?とか大人の事情なのかな、、、。)煙草スパスパ吸う真面目な女子高生、とか昭和感満載だけど、100冊とか関係なく、また読みたいなと思う一冊。2025/07/05
しゅわ
8
氷室冴子さん勝手に再読祭り!の第四弾。何かあると自分のお葬式をしちゃう美人の緑子、秀才だけど何を考えているか?わからない汀子、そして夜中に壁を見つめる自分に厳しい多佳子…ちょっと変わった三人組が、それぞれ勝手に恋をして、悩んで…今読むとちょっと恥ずかしいぐらいの青春ストーリーです。いわゆる“親友”でベッタリくっついて同じ行動をするというわけではなく、独立独歩で勝手にやっているようで、それでもお互いを思いやっている三人の距離感がイイですね。 2013/01/03
AZ
7
突然読みたくなって20年ぶりくらいの再読。中二病全開!と言えなくもないのですが、氷室先生の力量ゆえと氷室先生自身の高校生活がベースになっているせいか、キャラクターたちが地に足がついている、という感じで妙な説得力があり、思わず感銘を受けてしまいました。映画も斉藤由貴がはまっていて、原作の雰囲気を生かしたよい作品でした。しかし、当時25歳のギバちゃんを男子高校生にキャスティングしたことは意味不明。 氷室先生の新作がもう読めないことは本当に残念でしかたありません。2013/11/17
patapon
6
久しぶりの再読。凝視る(みつめる)ということは孤独なこと、という多佳子さんの考え、今でも思い出す。今読み返すとなんだかみんな愛しい。2014/01/01