内容説明
クイーン検察局の秘密ファイル公開!ワンマン検察局の名探偵エラリイ・クイーンが、殺人課、麻薬課、不可能犯罪課などの課にそれぞれ当てはまる難事件を快刀乱麻を断つごとく解決する。「金は語る」「代理人の問題」「九官鳥」「変わり者の学部長」等、軽妙酒脱な知的パズル18篇を網羅する傑作短編集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Tetchy
18
クイーンのミステリ小ネタ集と云っていいだろう。恐らく長編に成りえなかったトリックを上手く料理して、正味10ページぐらいのミニミステリにしている。それぞれの事件は小ネタ感は拭えないものの、アイデア一つでは長編になりうるネタも揃っている。ただ『犯罪カレンダー』でも感じたことだが、収録された作品のアイデアに非常に似通った物が複数あり、どうも一つのアイデアをヴァリエーションを変えて使用しているように感じた。やはりクイーンは意外とトリックの手札が少ないのではと思ってしまう。「変わり者の学部長」が個人的には好み。2011/07/03
さぼてん
10
案外面白かったな。派手ではないけど、どの短編もクオリティがぶれてない気がする。お気に入りは黒い台帳、タイムズスクエアの魔女、七月の雪つぶて。どれも長編では見られないエラリーの活躍ぶりだった。絶体絶命になるのは楽しい。2021/10/09
ホームズ
10
エラリー・クイーンの短編集。ちょっと日本人には分かりにくい内容もあったけど全体的には楽しめた(笑)短くってサクサク読めてしまう感じ(笑)ライツヴィル物も2編あったし(笑)ただ短編だったらニッキーを登場させてくれても良かったかな(笑)2010/09/11
ドウ
9
小粒ながら粒選りの謎が収められたショートショート集(とはいえライツヴィルが舞台となると途端に饒舌かつ叙情的になるのが不思議)。言葉遊びは翻訳もの故に切れ味が鈍るが、角砂糖のダイイングメッセージものは不思議と面白いままだし、古書を当てる作品は王道的な衒学趣味が読んでいて心地よく、ショートショートにもかかわらず読者への挑戦が挿入される作品の鋭さも魅力的。侮れない小品集です。2020/03/31
**くま**
8
これ気に入りました。この一冊で私の中のクイーン株が急上昇。全18篇の超短編集。下手すると事件が起きた次のページで謎解きが始まる。もはやミステリというより推理クイズ。でもクイーンの文章が上手いのとキャラの魅力、話の面白さで短編集にありがちな物足りなさをほとんど感じさせません。日本人には無理な謎解きが多いのは海外ミステリの宿命? エラリイの恩師の話「変り者の学部長」とかすごくいい感じ、ミステリ的には大したことないけど。ちなみに原題は"My Queer Dean!"、もしかしたら、これだけでピンとくる人もいる?2013/12/24