内容説明
ミス・コンテストの最終予選に残った5人の美女が、旬日に迫った発表日を前にして、脅迫・交通事故・怪死と次々と謎の事件に巻き込まれてゆく。時を移さず警視庁特捜班の執拗な追求が開始されるが、彼らの行く手には、巧妙なアリバイ工作、鉄壁の密室などが複雑に絡み合った“犯罪連立方程式”が立ちはだかるのだった……。果して、その解答はあるのだろうか? 著者の代表的本格推理小説!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
夢追人009
210
笹沢左保さんの長編第2作ですね。著者の作品群には「木枯し紋次郎」シリーズ等の時代劇物も多いですが私は苦手ですので今後は現代推理作品を少しずつ読み進める心算です。ミス・コンテストの最終候補者5人の女性が脅迫、交通事故。謎の死と次々に行く手に魔の手が迫る。警視庁の倉田警部補が捜査に挑むが、難攻不落のアリバイと堅固な密室殺人に阻まれて困難を極めるのだった。本書にはミス候補の女性を愛する若い頃に事故で右腕を失った片腕の男が登場して脇役ながらも主役を食う名推理で終盤に大活躍します。本書もまたトリッキーな力作ですよ。2023/09/30
ヨーコ・オクダ
9
電子書籍を購入。ミスコンの最終候補者である美女たちが次々に不審な死を遂げていくミステリー。古い作品なので、本編中、お金持ちの男性がお目当ての女性の気を引くために、家電を貢いでたりするのがちょっと笑えるwそれにしても、登場する女性たち(ミスコンの候補者以外も含めて)が、見事にみんな意地悪で、テレビドラマ化したら相当ドロドロな感じに仕上がってオモシロいんちゃうかな〜?ただ、あの意地悪さを巧く演じてくれる女優さんをいっぺんに揃えるのは難しいかも…。2014/02/03
H
6
本屋で平積みになっていたので読んでみたらスマッシュヒット。随分昔の作品みたいだけどなかなか面白かった。2020/11/21
ベック
6
笹沢左保の初期の頃のミステリは、現在の本格系の作家たちにもファンが多い。かの有栖川有栖も、一時期ハマって読み漁ったことがあると、どこかで書いてた。ミステリの構築美みたいなものはビンビン伝わってくる作品なのは間違いない。まず、本書には本格ミステリを書こうという作者の姿勢が見事に反映されている。それは謎の解明部分で挿入される犯行図一つとっても大いに感じられる。密室のトリックにしても、実際実現可能かと問われればちょっと頭を傾げるところがないでもないが、トリックの出来からすれば大いに納得できるものだ。
押さない
5
本編トリックとは関係のない部分なのだが、女性描写が時代を感じさせ、今なら大炎上しているのだろうなぁ。久々に直球ストレートで濃度の高い「本格推理」を読んだ。現実に照らし合わせるとつっこみ所が満載なのだが、そこはかなぐり捨ててトリックとプロットに能力全振りしているところも古き良き本格らしさがある。あらすじ紹介文の「犯罪連立方程式」の通り、被害者と加害者ががっちりと組み合って事件を作り上げている。2017/05/03