内容説明
パリ帰りに服飾デザイナー松平ユキにスカウトされ、高級洋装店“パルファン”に勤めた清家隆子。超一流の客筋、豪華な店…初めて知る上流社会に魅了された隆子は、ユキに替ってファッション界をリードする夢を抱いた。厳しい試練を経るうちに、ユキが再びパリに行くことになり、チャンス到来とばかり、隆子は次々と新企画を発表し成功をおさめるが――。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
そうたそ
7
★★☆☆☆ 服飾界を舞台とした作品。著者の作品にしては、ストーリーが単純で凡庸。安っぽいドラマを見ているようでもあり、あまり没頭できる内容ではなかった。2024/09/08
文句有蔵
4
再読。隆子の姿がまるで自分のことのようで心が痛かった。若い時に読んだのだが、その時も隆子と自分の相似性に、物語の展開、顛末に冷や汗が出たが、おかげで隆子と同じ轍は踏むまいと気づけたことはよかった。とはいえ用意されていた運命に変更はきかず、私もまた隆子同様尽くしに尽くし抜いて、利用されて、ポイ捨てされた感は否めないが(笑)同じ運命を生きた者として弁護するが、隆子が尽くし抜いた相手は決して男ではないし、隆子が溺れたのも絶対に男ではない。尽くした相手は自分の中の愛社精神であり、溺れたのはスポットライトである。2013/10/26
月夜
3
若い頃に読んでいる。縫い子が机の下で針を磁石で拾い集める様子だけが記憶に残っている。なんとなく嫌な印象があって 再読はしたくなかった。その時は この縫い子に年齢が近かったのかもしれない。今改めて 読むと 「人生の仮縫い」 という言葉が しみた。私はきちんとした仮縫いをしていないな~。当時もっとよく理解していれば そこのところ考えながら 人生を生きたのに 残念。同じ年に 連舞 助左衛門四代記 有田川 を上梓 していることに 非常に驚く。2012/10/20
uran
2
女性の読者はユキと隆子の生き様を全く拒否するか、快挙のように感じるか分かれるように思います。この二人のような生き方はしたくても出来ない時代だと思うので、一面から見れば羨ましいことなのかも。2014/06/15
きく蔵
2
女のしたたかさ、みたいなものを書かせたら、有吉佐和子の右に出る者はなかなかいないのではないかと、いつも有吉作品を読みながら思う。オートクチュールや宝石の話や、金持ちの自尊心をくすぐるような話に、同じ有吉作品の『悪女について』を彷彿とさせるものがあった。余談だけど、図書館などで見て、もう有吉作品を読み尽くしたと思っていたけど、読書メーターのおかげで、まだ読んでない作品がいくつかあったことがわかり、うれしい。2014/04/30