内容説明
秋の箱根、県衛生部課長補佐・津田弘文がモーテルで縊死体で発見され、同行の女性が直前に姿を消した。津田の妻は、その日の夕方、夫の宿泊先である日光の旅館に電話したばかりだという。その夫がなぜ箱根で発見されたのか? その頃、県警の泉刑事は厚生省課長補佐・辻村英雄が津田と接触を深めていたことをつきとめていた。新薬許可にからむ汚職事件の中でノンキャリアの悲哀を描く秀作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヨーコ・オクダ
4
電子書籍を購入。「製薬会社とその監督官庁をめぐる腐敗の構図に鋭くメスを入れる社会派ミステリー」ていう紹介文に魅かれて読んだんやけど、自分が期待してた感じとはちょっと違たわ。もっと、新薬の開発や認可に絡めて事件が起こりつつ、その業界の事情、背景やらを「そういう仕組みなんや〜!」なんて興味深く読み進めるモンやったら良かったのになぁ…。最後は結局、キーパーソンのアリバイ崩しにページが割かれてる感じ。時間と距離の壁。そのトリック自体は目新しくないものの、謎の女の設定がなかなか独創的で良かったと思う。2013/12/05