内容説明
鬱のときに読んだ本。憂鬱になると思い出す本。まるで鬱のような本。84名の方による、「鬱」と「本」をめぐるエッセイ集。本が読めないときに。
目次
「鬱」ベースの社会に(青木/真兵)
怪談という窓(青木/海青子)
犬に限らず(安達/茉莉子)
にぐるまひいて(荒木/健太)
世界の色(飯島/誠)
形を持った灯りを撫でる(池田/彩乃)
棚からぼたもち落ちてこい(石井/あらた)
ブランコ(市村/柚芽)
憂鬱と幸福(海猫沢/めろん)
世界の最悪さを確認する喜び(大谷/崇)
人と共感出来ず、なにしろもがいていた頃の話(大塚/久生)
椎名誠『ぼくは眠れない』(大槻/ケンヂ)
高校時代(大橋/裕之)
ウツのときでも読める本(大原/扁理)
低迷期の友(荻原/魚雷)
多摩川で石を拾おうとした(落合/加依子)
ポジティブ。(柿木/将平)
布団からの便り(梶本/時代)
『金髪の草原』の「記憶年表」(頭木/弘樹)
やらない勇気(勝山/実)〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
fwhd8325
89
大なり小なり「鬱」を経験されていると重いのですが、なかなか人に相談できるものでもなく、それこそ鬱々とした日々、時間を過ごすことになります。様々な世界で活躍されている方々が、そんなときに読んだ本が紹介されています。それは、ジャンルもバラエティに富んでいて、興味深いものでした。この著書も、そんなときにきっと寄り添ってくれるものだと思います。2024/07/28
nonpono
59
旅に出て電子書籍が読める時間に浸れるのに、携帯電話の充電があるミスでなくなりそればかり考えていた。帰宅して読んだ鬱の本。書評から。84名の鬱や憂鬱のお話。名言の宝庫である。「今にして思えばあの時やっと現実を生き始めたような気がする」(大橋裕之)、「前も上も見ることさえままならないけど、底は見えてるこの人生」(柿木将平)、「コミニケーションにおいて、他人を不快にさせることはあっても喜ばせることはできない」(高橋麻也)。26歳、鬱になったわたし。アメブロに出会ったわたし。わたしに贈りたかった子守唄みたいな一冊2024/06/12
k sato
45
人間の本質は鬱なんじゃないか。主題はうつ病等のうつ状態というより、健常者が経験する未病の鬱。84名の鬱体験が千文字で綴られている。執筆者は作家、主婦、ニートなど様々だ。鬱屈、無気力、孤独、息苦しさ、絶望。98%の筆者は読書に支えられたという。どの読者にも共感するエピソードはあるはずだ。私も例外ではない。病気の時は読書に興味がなく余力もない。嵐が過ぎ去るまでやり過ごす。そして読書ができるようになると回復のサインだとわかる。憂鬱に生きる人に寄り添う本。編集者の目論見は見事果されている。人間は鬱から逃れられない2024/03/31
マリリン
42
何となく鬱々とした気分になることもある。...本を読んでいる時間は一対一になれるからいい。何を感じてもいい、何を受け取ってもいい、誰かに伝える言葉にならなくてもいい、言葉にならない言葉があることを許してくれる言葉がある...(池田彩乃『形を持った灯りを撫でる』より引用) 殆ど2項の短編は読み進めるほどに心がほぐれ休まる。読書するという事はそういう意味合いもあるのだと気づく。鬱は今の人間の宿痾...町田節炸裂の『人間の鬱』もよい。全ての短編に書名が登場するが、既読本や読みたい本も登場し、読後感は良い。2024/05/29
阿部義彦
38
私も伊達に歳を取ってないので、本をみて、軽く手に取ればそれが自分が好きな本かどうかは、分かるようになりました。この本の場合は装丁、カバーは無く剥き出しにエンボス加工の浮き彫りの虹色の活字、そして点滅社と言う初めて目にする出版社、裏表紙に貼ってある『取引代行』のシール、そして何より本そのものにはバーコードが印刷されてなく、腰巻にだけバーコードが有って、値段表示も本体1800円+税、それだけで私的には珍しく目次も読まず(中身を開かず)レジへ直行。正解でした、著者のアイウエオ順なのも良かった。本好きなら是非!2023/12/29