感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
keroppi
71
大林宣彦監督の映画愛と反戦への思いがいっぱいの本。癌との闘いも記録されている。余命宣告を受けながら、奇跡的に映画を2本も撮りあげた。これも映画への並々ならぬ思い故なのだろう。「映画はウソから出たマコトを映し出す」と語る。大林監督の創り上げた虚構の映像は、真実をあぶり出す。衛星劇場での「大林宣彦のいつか見た映画館」の記述も多く、この番組も見てみたかったなぁと思う。おそらく、この本が大林監督最後の本だと思うが、大林監督の思いのたけが綴られている。それだけに一部記述間違いがあるところが残念だ。2020/06/05
Isamash
22
大林宣彦2020年発行著作。IV期の肺癌になってしまったがイレッサが劇的に効いた話、再発後の治療と映画製作の苦労、戦争経験者として戦争の実態を映画として伝えなければいけない使命感が語られている。是枝監督等、後輩監督への熱き思いも語られている。いつか見た映画館ということでサイレントも含めて1930〜1950年代の映画が良さも語らえている。後書きを再発後の是枝監督が寄稿。監督やプロデューサーとして沢山の映画を作ってるが殆ど自分は見ておらず是非見てみたいとは思っているがアマゾンプライムに殆ど存在しないのが難点。2023/11/26
イチイ
17
ちょうど遺作が公開されたばかりの大林宣彦監督の、同じく遺作としてのエッセイ集。癌で余命宣告されてからの闘病、自主映画作家としてのキャリア、軍国少年として経験した敗戦、映画の過去と現在、と主に4つの主題を扱いつつも、過去の映画の記憶を交えてさまざまなことが語られる。とにかく力強く、前向きな人柄であったのだろうということが偲ばれる。表題の『キネマの玉手箱』の話ももっと読みたかった。2020/08/01
vaudou
8
「現実の世の中にハッピーエンドはない。しかし、すべてアンハッピーだと諦めてしまったら人生は地獄になってしまう。ならば、せめて大ウソである映画を信じよう。ハッピーエンドとなる映画を信じよう。いつか平和が来ると信じていれば平和という大ウソがウソから出たマコトになる」2020/07/26
garth
6
p.63『大列車強盗』に関する記述が混乱している。おそらく編纂者のミスなのだろうが、さすがにこれは。2020/05/13