内容説明
足利尊氏の縁者という高貴な身分に生まれながら、幼くして視力を失った明石覚一は、自ら琵琶法師の道を選ぶ。厳しい修行に明け暮れる中、地下の琵琶弾きや傀儡、漂泊する芸能民たちとも交流を重ね、社会の底辺にいる人々の暮らしぶりを目の当たりにする。やがて覚一は天下随一の琵琶の名手として名声を高め、御前演奏、すなわち天聴の栄に浴することとなる。磨き抜かれた至芸に感じ入った天皇より、「何か望みがあれば」と御簾の内より御言葉を賜るが、その時覚一が願い出たものは、地位でも所領でもなかった…
著者等紹介
花田春兆[ハナダシュンチョウ]
1925~2017。出生時脳性マヒにより、身体及び言語に障害をもつ。身障者同人誌「しののめ」を創刊し、俳人・文筆家として活躍。作家以外にも、独自の芸術領域を切り開いた陶俳画や、ゑびす曼陀羅(日本障害者文化史絵巻)のプロジェクトなど、多彩な活動を展開。俳人協会全国大会賞受賞、萬緑賞受賞、ヤマト福祉財団小倉昌男賞特別賞受賞、国際障害者年日本推進協議会(現、日本障害者協議会:JD)副代表、総理府障害者対策推進本部参与、城西国際大学講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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