感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ピンガペンギン
22
著者は1983年生まれ。出版社勤務などを経て東大医学部卒ののち医師。「タバコ、酒、次の標的」タバコの害はたかが知れたものなので許容するべきという。この時点で読む気を無くす人がいそうだが「がん検診」は一読の価値あり。「がんも予防できない」し、早期発見が良いとは限らない。早期発見が有効ながんはごく一部だという。9章では「エビデンス」=科学的根拠ではないことが語られる。男性の前立腺がん検診は、副作用(尿漏れ、性機能不全などが起こる)があるのに、死亡者を減らす効果は少ないことがわかっている。 2024/10/26
清水勇
11
「健康」と「生活を守る」は同義語と思っていたが、全て基本に戻って考える著者の丁寧な説明で、如何にメディアの情報を鵜呑みにしているか痛感。新型コロナ禍で大騒ぎしている我々に立ち止まって考える機会を与える。真骨頂は.病気の予防は「おいしいかどうか、食べたいかどうか」に勝る理由にはならず「予防の効果は実感できない」にある。目次に通風、プリン体、タバコ、血圧、コレステロール、メタボ、がんと我々が常識だと思い込む対策をデータの冷静な評価で自分の生活を(やりたいことを)我慢してまでやる必要がないことを納得させられた。2022/09/21
Koji Takahashi
9
《健康とは『迷信』である》 健康に良いとか言いながら 医師を盲信して治療を受けるとか 健康食品を摂取するとか 馬鹿らしくなることが世の中には少なくない。 そもそも「健康」になることが目的な人生は心を病む。 自分がやりたいことをやるために健康でいるものではないか? 自分がやりたいことを生き生きとできている状態が肉体的にも精神的にも「健康」だろう。 コロナ禍の時代、肉体的な健康を必要以上に求めすぎて、精神的な健康が放置され過ぎだろう。 『迷信』にとらわれず、精神的な健康を大切にしよう。2021/02/12
おっとー
9
健康への狂信。特にコロナの影響でこの狂信はさらに増幅され、罹患しないことが正義、罹患したら悪という息苦しい図式が出来上がっている。本書はコロナへの言及は少ないが、プリン体の摂取は痛風に影響するのか、がん検診のメリットはあるのかといったテーマに鋭く切り込んでいく。そもそも人間はいつか何かの病気で死ぬわけで、健康な人でも突然死んだり、不健康な人でも長生きできたりする。統計で管理できない「個」の生がここにはあるわけで、ずっと健康で、ずっと自粛して生権力の僕になるより、ほどほどな不摂生を楽しむ方が「健康」なのだ。2020/08/31
ムートン
8
何を食べても病気になる人はなるし、ならない人はならない。食べ物で病気は予防できないし、高血圧、高コレステロールも寿命には誤差程度にしか影響しない。だからいろいろ気にせず、好きなものを食べるのがいい、という本。著者は現役のお医者さん。書きぶりからかなり面倒くさそうな人だなと感じる。額面通り受け取れるかは別にして、なかなか面白い考えが所々に書かれていたので、読んでよかったとは思う。2021/04/04