内容説明
デルスィム、それはクルド人の土地そして虐殺の地…初めて日本語に訳された国なき民族クルドの文学!語りえぬ思いが、物語を通じて現れるとき、人は沈黙の意味を知る。
著者等紹介
ムンガン,ムラトハン[ムンガン,ムラトハン] [Mungan,Murathan]
1955年、トルコ、イスタンブル生まれ。両親はクルディスタンの町マルディン出身で、幼少時代はマルディンで過ごす。アンカラ大学を卒業後、国立劇場で仕事を始め、1980年に最初の著作『マフムードとイェズィダ』を出版。1984年にメソポタミア三部作の二作目『タズィイェ』で最優秀劇作家に選出される。詩人、劇作家、短編小説家と多くの顔を持ち、著書も多く、トルコを代表する作家の一人
磯部加代子[イソベカヨコ]
1973年、神奈川県生まれ。クルド文学翻訳者(トルコ語)、トルコ語通訳(フリーランス)。1999年から2001年までの約2年間トルコのイスタンブルに在住しトルコ語を習得。帰国後トルコの食品を輸入・販売する会社に約5年間勤めた後、退職。著訳書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ののまる
13
1938年のトルコ政府によるクルド人大虐殺「デルスィム虐殺事件」をモチーフにしたクルド人作家たちによる短編集。もっともっとクルド文学を読みたい。2020/02/23
夏子
6
トルコで起こったクルド人の虐殺事件を描くクルド文学の短編集。男は殺され、女はトルコ人の家庭にお手伝いとして入れられ、自分達の言葉を奪われトルコに同化されたという事実が衝撃的。短い話の奥底に潜む、物語には入りきらなかった多くの人々の叫びのようなものを感じました。2018/04/17
渡邊利道
4
クルド人の虐殺の記憶を強く宿したデルスィムという土地(の名)をめぐるアンソロジー。どれもシンプルに過酷な歴史を背負った人たちの苦悩と葛藤を描いている短編で、被害者のみならず加害者の苦しみも描かれていて、読みながらどうしてもアジアの多くを植民地として過酷に振る舞った日本(人)のことを想起せずにはいられない。2019/07/12