内容説明
震災を経験した仙台から、次の世代の文学が産まれることを願って。
目次
第1回 2018(大賞 奥州ゆきを抄(岸ノ里玉夫)
河北新報社賞 あわいの花火(安堂玲) ほか)
第2回 2019(大賞 ビショップの射線(綾部卓悦)
仙台市長賞 西日の里(高橋叶) ほか)
第3回 2020(大賞 境界の円居(佐藤厚志)
仙台市長賞 鵜の尾岬まで(高玉旭) ほか)
第4回 2021(大賞 海、とても(森川樹)
仙台市長賞 蛍(本郷久美) ほか)
第5回 2022(大賞 道の奥には(大谷努)
仙台市長賞 金魚の帯(なつせさちこ) ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ベル@bell-zou
22
震災により創設が棚上げされ震災により何にも代えがたい意味合いを持った文学賞。大小の関りは問わず東北の地を縁とする作品という条件に震災は含まれていない。が、それはこの地と人の心に刻まれている。微かにも感じさせずには物語れはしないだろう。第1回~5回の受賞作品集。既読は第2回を除いた新聞掲載作のみだったけれど思いのほかバラエティ豊かで読み甲斐があった。でもやはり当時感想UPもしている「奥州ゆきを抄」「あわいの花火」「境界の円居」の三作品が特に印象的で好き。2025/03/09
さんつきくん
8
プロアマ問わず、東北に縁ある作品が顕彰され、2017年に創立された仙台短編文学賞。その5年分の受賞作をまとめ出版したもの。大体の作品が東日本大震災に影響を受け、書かれたもので、若手からベテランまで様々な切り口で東北を描いているのが印象に残る。個人的に好きなのは、岸ノ里玉夫「奥州ゆきを抄」。幻となった奥浄瑠璃の後継者がいたのかというロマンを書き立てた。第3回の大賞受賞者はのちの芥川賞作家佐藤厚志だ。気仙沼を舞台に新聞配達のバイトをする高校生の話しだ。女川出身の森川樹も第4回で大賞を受賞している。2024/02/03
Oh!やまびこ
7
仕事にて外出した先の書店に立ち寄り発見した書籍。受賞作品は地元新聞紙面にて毎年眼にしており、書籍化を待ち望んでいた。そして偶然の出会い。迷わず買い求めた。改めて読むと、質の高さに驚き、東日本大震災に絡んだ作品の数から心に残る震災の影響に震え上がる。作品の中には防災教育の一環として使用しても良いのではと思えるものも存在する。この先、作品のテーマが震災から離れ、もっと多岐にわたってきた時、その時が本当の震災復興にたどり着いた時かもしれない。仙台短編文学賞の更なる発展を祈念致します。2023/11/23