内容説明
千葉県の内房にある静かな海辺の町、竹岡にある「りんどう珈琲」でアルバイトをする高校生の柊。喫茶店にやってくる人ちとの日々の中で、柊は生きるということを少しずつ知っていく。
著者等紹介
古川誠[フルカワマコト]
1975年5月12日生まれ。埼玉県出身(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Yuko
4
前オズマガジン編集長で著者である古川さんにお会いして少しお話を伺ったことがありますが、物静かで人の気持ちにそっと優しく寄り添ってくれる、まさにこの小説のマスターのようだと思いました。 多感な柊の心の動きを描き、りんどう珈琲を訪れる人々やマスターとの関わりの中で、生きることの意味を問い続けるエピソードのバックグランドには、海と珈琲、そして音楽♬ あさぎ色とあい色の装幀2冊組手製本。昼の海と夜の海の色、柊とマスターの色でもあるとのこと。練りに練った本作りはクルミド出版さん。優しく心に染み入る物語です。 2018/03/02
WAKUWAKU
2
音楽、珈琲、言葉そして人。どの人にもこんな喫茶店が近くにあればもっと優しい世の中に、許し合える世の中になる気がします。多くを語らず自分で考えろと時に言うマスターは、皆同じ正解なんてある訳ない、自分の人生は自分が出した答えを信じて歩めと言ってくれているようです。この本に出逢えて嬉しいです。ありがとうございました。2020/04/12
らて
0
りんどう珈琲を営むのは37歳なのに達観した雰囲気のマスター。唯一のアルバイト店員は多感なお年頃の高校生の柊ちゃん。とても素直な真面目な女のコ。訪れるお客様との出会いから色々な事を感じ、考え、悩み、まるで哲学書のような雰囲気。そして物語の終盤に思いがけぬ展開で年始から涙腺崩壊。私はいつもブレない強く優しい人に憧れる。でも、揺れながら自分の軸を探していくのもアリなんだと気付いた一冊。前作同様、物語の根底に優しい空気が流れていて、世界は捨てたもんじゃないぞって気にさせられる。2023/01/03