著者等紹介
メルヴィル,ハーマン[メルヴィル,ハーマン][Melville,Herman]
1819年、獨立戰爭以來の名門の子弟としてニューヨークに生れるが、十代半ばの頃輸入商だった父が破産、生活のため船員となって商船、捕鯨船、軍艦等に乘り組み、廣く世界の海を知る。歸國後、1846年、ポリネシアの食人種の村に滞在した經驗を描いた處女作「タイピー」が評判となり、本格的な作家活動に入る。1850年、「緋文字」の作者ナサニエル・ホーソーンと出會って大きな影響を受け、「モービー・ディック」や「ピエール」など意慾作を次々に發表するが、世の自明の理を徹底的に疑ふ難解な作風ゆゑに、次第に讀者を遠ざけるに至る
留守晴夫[ルスハルオ]
昭和23年(1948年)宮城縣仙臺市生。昭和46年早稻田大學第一政經學部政治學科卒業。昭和52年早稻田大學文學研究科英文科博士課程中退。平成21年3月迄早稻田大學文學學術院教授(アメリカ文學専攻)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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かんやん
26
『バートルビー』働かない、動こうとしない部下にひたすら困惑する上司。一見多くの哲学者が言及するのも納得の不条理感であるが、こういう人はいるよ。陰々滅々とした中にユーモアが漂う。/『ベニト・セレノ』岩波版の『幽霊船』というタイトルは良くない。米国のアザラシ漁船が、遭難寸前のスペインの奴隷船と遭遇。20世紀の巨匠たちを凌駕するような描写力、油断できない緊張感、見事な伏線回収、現代のポリティカル・コレクトネスなんぞ吹き飛んでしまう凄まじい暴力。いやあ、エキサイトしました。ぜひ前知識なしで読んでいただきたい傑作。2024/10/04
さぼさん
3
“白鯨”のメルヴィルによる中編2作.全く色の違う2作なので非常に楽しめます.全てを拒否する男バートルビーのたどる運命は?そして,艦長ベニト・セレノの船を襲った運命は...個人的には特に後者がお薦め.世界の巨匠の手によるミステリータッチの作品に引き込まれます.2011/02/16
haikairoujin
1
人間の根源的な悪というものは、表面的な出来事だけを見ただけではわからない。「ベニト・セレノ」という中編は、何か人間の恐ろしさというようなものが描かれているのではないか。非常に面白かった。 2012/03/08