内容説明
本書が読者に提示するオークニーは、現実の岩・海・土壌であると同時に、テクストの大洋に浮かぶ想像上の島々でもある。島の悪天候に身を置いて生活することの厳しさと危険が絶えず強調され、島の賛美・理想化は常に「死を忘るなかれ」と表裏一体を成している。ある詩人にとってオークニーは日々の営みのすべてが村の共同井戸に集まる「満ち足りた場所」と映り、またある詩人にとってはその周縁性や「世界の最果て」が誘発する表象の場所となる。本邦初訳。
目次
第1章 北欧の過去、ヴィクトリア朝期の現在―『オークニー諸島の人々のサガ』の紹介
第2章 ヴァイキングの墓場を発掘する―北欧の復活と吟唱詩人の主張
第3章 気乗りのしない現代人―エドウィン・ミュア
第4章 オークニーとスコティッシュ・ルネサンス―エリック・リンクレイターとアン・スコット=モンクリーフ
第5章 伝統づくりとオークニーの声―戦後詩
第6章 最高水位―ジョージ・マッカイ・ブラウン
第7章 現代のフィクション、昔日のオークニー―3編のオークニー小説
著者等紹介
ホール,サイモン・ウィルソン[ホール,サイモンウィルソン] [Hall,Simon Wilson]
グラスゴー大学スコットランド言語文学科卒業(大学のEwing Prize for Scottish Literatureを受賞、1996年)、同大学院にてPhD取得(2004年)。『オークニー文学史』はこの論文を基礎として2010年エディンバラで出版され、同年のSaltire Society First Book Awardを受賞。オークニーのカークウォール生まれで、現在、カークウォール・グラマースクール英語主任教諭
川畑彰[カワバタアキラ]
芦屋大学名誉教授。関西学院大学大学院文学研究科博士課程満期退学
入江和子[イリエカズコ]
神戸海星女子学院大学非常勤講師。芦屋大学大学院教育学研究科修士課程修了
中浜典子[ナカハマノリコ]
現在エディンバラ在住、フリーランス通訳・翻訳・日本語教師。奈良女子大学大学院文学研究科修士課程修了。途中ロータリー財団奨学金で1年、エディンバラ大学大学院言語学科で研修
山田修[ヤマダオサム]
獨協大学名誉教授。早稲田大学大学院文学研究科博士課程満期退学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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