内容説明
司馬遼太郎絶賛の戯曲を小説化。原文も収録。
著者等紹介
高橋順子[タカハシジュンコ]
詩人。1944年千葉県飯岡町(現旭市)生まれ。出版社に勤務しながら第一詩集『海まで』を刊行。おもな詩集に、『幸福な葉っぱ』(現代詩花椿賞)、『時の雨』(読売文学賞)、『貧乏な椅子』(丸山豊現代詩賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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いやしの本棚
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J・M・シングの戯曲を、詩人の高橋順子さんが小説化したもの。彼女の詩を読むと、自分自身が海の一部であるというような慕わしさが感じられ、その感覚は海の近くで育った自分にとっても遠いものではないので、震災の時の津波のことをどう捉えていらっしゃるのかと、ずっと思っていた。『この海に』は、アラン島という厳しい自然の中で暮らし、夫も息子もみな海に連れ去られた老女モーリアの哀しみをうたった短い作品。あの津波を経験した詩人が、海によって生かされ、海によって死を与えられるアラン島の人々を、容赦ない海を、語るということ。2016/08/27