感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
三柴ゆよし
13
タイについてなにも知らない。ましてやタイの現代文学なんてものについての知識などあるはずもなく、本書がタイにおけるポストモダン文学の旗手によるものだと聞かされても、左様ですかと答えるしかなくて、なんとなれば自分はタイのモダンはおろかそれ以前すら知らないのである。本書に収められた最初の短篇「バーラミー」(「七光り」の意味だとか)の語り手は作家志望の青年。彼は香港旅行の途上、親父の威光を傘に着た、いけすかない青年(その名もプラープダー・ユン!)に出会い、そのゴーストライターとして作家デビューすることを決意する。2012/03/20
きゅー
8
タイの作家のプラープダー・ユンの短編集。ポストモダンという言葉を最近は聞かなくなったが、「バーラミー」などのいくつかの作品は、まさにポストモダンな小説だ。無名の作家志望の青年が金持ちの青年プラープダー・ユンと出会う。二人は秘密の取り交わしをし、青年はユンのゴーストライターとして小説を書く取り決めをする。一般的にイメージされるようなタイらしさは皆無。都会の喧騒、アイデンティティを追い求める若者、個人と集団との諍いといった現代的な問題に焦点が当てられている。彼らの物語は私たちの生活と地続きで、そこに障害はない2022/09/30
hyva
7
ちょっと変わった海外文学を読みたくて。この作家が変わっているのか、タイ文学というジャンルが変わっているのかわからないけど。とにかく不思議というか、シュールというか。雰囲気オシャレな短編集。現代文学という感じ。2019/03/03
balanco
2
実験的でモダンだと思いました。2015/12/20
鈴森とら
0
タイの作家さんによる短編集。 どの話も独特な世界観に引き込まれるが、短編なのですぐ終わってしまう。 物語の一部を切り抜いたような不思議な味わい。 12作の短編の中では、道ゆく人々が実は様々な人間関係で繋がっていることをテンポよく語る「重複する出来事」と、 雪を見せれば息子の奇妙な行動が治ると信じる母親が、雪を見せる為にアラスカまで息子を連れて行く「母さん、雪をあげる」の切なさが印象的だった。 2025/05/04