内容説明
平成の世と見紛うばかりの封建社会末期に宣長が示した処方箋「玉くしげ」。古神道の根本を明らかにした「玉くしげ別巻」「直毘霊」も収録。
目次
玉くしげ上(眼前の利益を思うなら根本から;儒者気質の意外な落とし穴;唐土の道には根本的な間違いがある ほか)
玉くしげ下(金銀が得難いのはむしろ金銀が多いから;金銀の流通がもたらす弊害;新規のことを性急に推し進めてはいけない ほか)
玉くしげ別巻(まことの道は世界に一つ;万物の生成と天壌無窮の神勅;古伝説を外国風の理屈で解釈してはならない ほか)
直毘霊
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
双海(ふたみ)
15
副題に「美しい国のための提言」と書かれておりますが、某政治家の唱導する「美しい国」とは全く別個のものであることは心得ておかねばなりません。2014/06/30
三条院アルパカ
0
昔の人いいこと言うなあと心から感心した。旧来の制度は慌てて変えるな、目先にとらわれすぎずに長い目で考えろというのは、病的に改革を求める現代社会への一つの処方箋だと思う。悪いことは因果を問わずどんなに頑張っても起こるときは起こるという考え方も、事故が発生した時に原因究明と再発防止策を講じてもう大丈夫と考えてしまう今の世の中が参考にすべきところかもしれない。後半、神道バンザイ儒教道教滅ぶべしの論調になるが、江戸時代当時支配的だった儒教に対する反動としてこのくらいの極論がバランス上求められたのだろう。いい本。2015/05/15
一龍
0
本居宣長が紀州藩の諮問に応えて、紀州藩の政治・経済に提言したのが本書の原本である「玉くしげ」である。 彼の歴史観は日本人としてかなり贔屓目に見ても、かなり偏った皇国史観であることは否めないが、昨今の中国の動向を見ていると、納得できる部分も大いにある。 古典として、教養として読んでおいて損はないと思う。2012/09/19