出版社内容情報
《内容》 わが国の痴呆性疾患の頻度は、65歳以上の老齢人口の4~6%であり、欧米諸国とほぼ同様である。しかし、急速に高齢化社会を迎えたわが国においては、脳血管性痴呆、アルツハイマー型痴呆をはじめとする痴呆性疾患患者の増加は著しく、医学的にはもちろん、社会的にもその対策は重要かつ急務の課題となった。 痴呆性疾患の鑑別診断は、痴呆の発症のしかた、発症よりの経過、神経学的所見、神経心理学的所見等から行われる。しかし、その診断を早期に、しかもより確実なものとするためには画像所見が不可欠と考える。一方、画像診断機器の開発と普及には目を見張るものがある。X線CT、MRIでおもに痴呆性疾患の脳の形態的変化を検出することが可能であり、またPET、SPETCでは、脳血流や脳代謝等を測定することによって、痴呆性疾患の機能的な変化を三次元的に検出することが可能である。したがたって、痴呆性疾患の臨床では、これら画像を正しく解析し、診断に役立てることが重要である。 本シリーズは、数百例におよぶ痴呆性疾患の画像解析の研究を続けてきた日本医科大学第二内科学教室の赫 彰郎教授、北村 伸助教授、酒寄 修医員、越 泰彦医員による、日常臨床で診ることの多い痴呆性疾患の画像診断ガイドブックである。従来の画像診断書とは異なり、1疾患1冊の刊行形態とし、「アルツハイマー型痴呆」「脳血管性痴呆」「前頭葉型痴呆」「クロイツフェルト-ヤコブ病とその類縁疾患」「パーキンソン病とその類縁疾患」「ウェルニッケ脳症とその類縁疾患」の6回シリーズとした。 厳選された、特徴的なCT、MRI、SPECT、そしてPETの画像を可能な限り多数掲載し、その読み方を中心に解説した。画像は鮮明なもので、正常から鑑別診断までを網羅し、かつ経年的変化も掲載した。また、診断のキーポイントもわかりやすく記載してある。 神経内科、精神科、放射線科を専門としていない人にも理解していただけるように配慮がなされており、痴呆性疾患の画像診断を行う際、また研究をすすめるにあたっても本シリーズを活用いただければ幸いである。 《目次》 アルツハイマー型痴呆-概論-アルツハイマー型痴呆のCT像 正常老年者のCT像 アルツハイマー型痴呆のCT像 重症度別CT像 症例検討-CT像による経過-アルツハイマー型痴呆のMRI 正常老年者のMRI 重症度別MRI-T1強調像- 鑑別診断 MRI T1強調像-水平・冠状断- CT、MRIの特徴および検査方法アルツハイマー型痴呆のSPECT像 正常老年者のSPECT像-CBF- アルツハイマー型痴呆のSPECT(CBF)像 重症度別SPECT(CBF)像 終末期例のCTおよびSPECT(CBF)像 鑑別診断 重症度別SPECT(CBF、BZR)像 症例検討-CBF像による経過- SPECT像の特徴および検査方法アルツハイマー型痴呆のPET像 正常老年者のPET像 アルツハイマー型痴呆のPET(CMRGIu)像 重症度別PET(CBF、OEF、CMRO2)像 鑑別診断 中等度痴呆例のPET(CBF、CMRGIu、BZR)像 PET像の特徴および検査方法今後の課題参考文献
目次
アルツハイマー型痴呆―概論
アルツハイマー型痴呆のCT像
アルツハイマー型痴呆のMRI
アルツハイマー型痴呆のSPECT像
アルツハイマー型痴呆のPET像
今後の課題