内容説明
本書は、第二次世界大戦の時代、高い塀と有刺鉄線にかこまれた、“収容所”とよばれる地獄にとじこめられていた子どもたちの心の叫びを伝えるものです。アウシュヴィッツをはじめとする“収容所”で殺された子どもたちの数は150万人といわれています。子どもたちの怒り、悲しみ、夢、祈り、そして、生きたいという叫び…生命のメッセージを受けとめてあげてください。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
どんぐり
70
テレジン収容所の<子どもの家>にいた10歳~15歳の子どもたち15,000人、そのうち戦争終結まで生き残ったのはわずか100人。収容所が解放されたとき、ドイツ軍が焼きはらった書類の下に子どもたちの描いた絵が4,000枚と詩が数十編残されていた。ここには、絶滅収容所で描かれた多くの子どもたちの絵や詩とともに、「1000の偶然と1000の幸運」で生き残ることができた者の証言が紹介されている。なかには、「私の番号は73305・・・。母の機転で助かったのです」と著者のインタビューにこたえる『アウシュヴィッツの図書2017/02/24
ぶんこ
41
一人の女性画家が、希望を失い絶望している子どもたちに明るい未来、希望を持たせようと絵を教え始めました。収容所に送られる前、仲間たちが手配してくれた逃げ延びるためのパスポート。彼女は逃げるよりは、子どもたちと共にいることを選びます。彼女だけではありません。子どもたちの為に持てる力を注いだ人たち。絶望的な環境の中でも希望を失わずに耐えてきた大人、子ども。その人たちの叡智の結晶が詰まった本でした。2017/03/21
Nobuko Hashimoto
24
テレジン収容所で監視の目を盗んで描かれた子どもたちの絵を多数載せている。編著の野村路子さんは、子どもたちの絵を日本に紹介した人物。この本は版も大きく、カラーで大きく紹介されている絵が多い。収容所で子どもたちに絵を教えていたフリードル先生の描いた絵もカラーで掲載されている。花の絵が美しい。2023/12/25
Cinejazz
12
アウシュビッツ絶滅収容所への中継地テレジン収容所、ここに強制収容されたユダヤ人9万人のうち、親と引き裂かれた10-15歳の子どもたちは15000人、戦争終結まで生き残ったのはわずか100人でした。アウシュビッツへ列車輸送されるまで期間、先生の教えで楽しかった日々の絵、辛い状況を描いた絵や作文などが戦後奇跡的に発見され、プラハの「チェコ国立ユダヤ博物館」に保存されました。野村路子著『テレジンの小さな画家たち』をもとに、子どもたちの命のメッセ-ジとして新たな画集として出版された魂の叫びの書です。2021/06/30
ちい
8
アウシュヴィッツへの中継所としてチェコのテレジン収容所では、子どもの収容所があった。子ども達に生きる喜びを忘れて欲しくないと、冬物のセーター等ではなく、紙やクレヨンをトランクいっぱいに持ち込んだ美術教師。楽しかった日々を思い出して描く子、心の底から欲している自由や自然、食べ物を描く子、楽しい情景を描いたはずなのに収容所の三段ベッドが絵に出てくる子、父親の処刑が脳裡に焼き付き、首吊りの絵を描く子。どの絵の下にも、作者の生年月日とアウシュヴィッツへ送られた日付が記されており、その年齢の幼さに胸が痛む。2025/03/15