内容説明
内側から光をあてたポル・ポト時代の暗闇。処刑場から逃れたカンボジア人の手記。大量虐殺の狂気が吹き荒れたポル・ポト支配下のカンボジア。いったい何がそうさせたのだろうか?すんでのところで「殺戮荒野」(キリング・フィールド)を脱け出し、奇跡的に生きのびたカンボジア人ジャーナリストが、みずからの体験を通じて恐怖の体制の内側を明かすスリルと感動のヒューマン・ドキュメント。
目次
第1章 プレイベンの村で
第2章 内戦に揺れる首都
第3章 プノンペン陥落
第4章 死の淵からの生還
第5章 赤色クメール支配下のプノンペン
第6章 収容所生活の日々
第7章 解放の鼓動
第8章 故郷に学校を贈ろう
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
猫丸
9
仏領からシアヌーク政権、ロン・ノルによるクーデタを経てポル・ポト率いるクメール・ルージュ独裁へ。20世紀のカンボジアの歴史は激しく変転しつつ悪化の一途をたどる。ポル・ポトはフランス留学でハクをつけるつもりだったが、度重なる挫折により深いルサンチマンを抱くようになったようだ。畸形化した毛沢東思想を無意味に振りかざし知識人を虐殺したのは、知性への激しい復讐心のなせる業。そこに集う同志が反知性主義を加速し、忖度の無限連鎖を生み出す。著者は教育の欠如が道徳の退廃をもたらすと述べている。つまり我が国は発火寸前か。2018/12/06
inahiro020
1
ポルポト政権下で何が行われていたか、生の体験を初めて知った。「無知」というのがいかに恐ろしいかを改めて感じた。ポルポトのようなキチガイの出現を許さない社会をつくらないといけない。特に昨今のアフリカ諸国の混乱もこのようないかれた奴が出てきそう。教育って大事なんだなぁ。2015/06/20
ジョル
1
映画かのように、あぁもう死ぬかも、と絶望したり、逃亡にドキドキしたり、悲惨さに言葉が詰まるけど、これはつい30年ほど前の実話。それが怖くもあり、もうこんな歴史が繰り返さないように、と願わずにいられなくなる一冊。2011/07/17
satuyo
1
それはほんの数十年前のカンボジアで起こったこと。ポル・ポト政権を生き抜いた、命ギリギリの著者のフィクションのように非日常的な、実体験談。ポル・ポト政権について知りたい時に、読んでみるといいかと。当時のカンボジアの背景をしっかり押さえながら、体験が語られています。ジャーナリストとして備わった分析力はもちろんのこと、日頃の良い行いが幸いしてる気がしてなりません。2012/11/16