内容説明
複雑にして難解なハーマン・メルヴィルの作品を星野勝利氏は文字どおり自在に論じている。個々の作品だけでなく、メルヴィル自身の体験と読書歴を踏まえ、背後の聖書的知識・古典的知識をも加え、この19世紀の偉人を彼は読者に解明してくれる。
目次
鼻声で語るプラトン―メルヴィルとエマソン
幽暗の新世界―メルヴィルのアメリカ像
真実を語る―メルヴィルとフィクション
辺境のマルケサス―『タイピー』と〈丘の上の町〉
タヒチ島をめざして―『白鯨』と予型論
仮面・道化・パリノウド―『詐欺師』の韜晦
沈黙の射程―「鐘塔」について
イシュメイルのゆくえ―「コケコッコー!」について
対峠と拒否―「バートルビー」について
女神の輪郭―『戦争詩集』と詩「アメリカ」
狂の系譜―『クラレル』群像
奈落と星と―『ジョン・マー』覚え書