内容説明
エロスと死が「穴」の向こうで鮮やかに反転する。しがない小説家のアパートに突如あらわれた二つの穴。以来主人公真木栗が猛然と書き上げたのは実は自らの死に際だった。第4回四谷ラウンド文学賞受賞。
著者等紹介
山本亜紀子[ヤマモトアキコ]
1968年京都府生まれ。OL生活を経て、1996年『恋風吹く京』(みき書房)で小説家デビュー。第2作の『穴』にて第4回四谷ラウンド文学賞を受賞
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感想・レビュー
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YM
61
お気に入りさんの読みたい本から。ついつい覗きたくなって。物語は売れない小説家が、偶然、自宅の古アパートの壁に小さな穴をみつける。ちょうど隣の部屋に、いい感じに影のある艶っぽい女性が引越してくる。もうがっつり覗いちゃう。単にドロドロで、卑猥なお話かと思ってたら、全然違った。ちょっとラブストーリー、ちょっとミステリー、ちょっとホラー、まあまあ官能みたいなバランス。じめーっとした空気感すき。穴から見えたのは、一番見たくない、見てはいけないものでした。あー、こわいこわい!覗きはダメ!映画は西島秀俊主演★2014/11/19
らぱん
41
「穴」その② ジャンルは大まかにはサイコスリラー。装丁が凝っている。表紙の穴から覗くと見返しの蛭子能収の絵が見える。内容にもぴったりで感心したが、出版社四谷ラウンドは採算度外視で知られていて倒産したらしい。さもありなん。さて物語は、古いアパートに住む売れない作家が、隣との境の壁に小さな穴が開いていることに気がついた。…覗くか。覗くよね。心理や状況の描写がけっこう読ませる。黒電話や銭湯に置き薬などアイテムが昭和という時代のオマージュになっていて、読後は物悲しい切なさが残る。なかなか面白かった。70点。2019/02/24
かよぴー
30
ブクオフで表紙の穴が面白いのと「エロスと死が「穴」の向こうで鮮やかに反転する」との帯が気になり購入。ボロアパート、売れない小説家、壁の穴、覗き、美人の人妻ときたら、な〜んだ、ただのエロい話。と思ったらどっこいミステリー?ホラー?えー!えっー!!えーー!!! 読後、かなり前に西島秀俊さんで映画化されてると知り、またまたビックリ! もう少しテンポ良く書かれていたら、一気読みの本ですね。「真木栗ノ穴」借りて見てみようかな。2015/09/18
Shinobi Nao
10
売れない小説家が、自分の住む古いアパートの部屋の壁に穴が空いていることに気づき、覗く。下衆な話なのに、読みはじめから「これはなんだかおもしろい話だ」という予感が漂っていて、人間の中にある「やってはいけないと言われるとやりたくなる」衝動に見事にはたらきかけてくる。読んでいる人はみんな「もしも自分の部屋にも・・・」と想像してしまうのではないだろうか。そして、もし穴があったら覗くかと訊かれたら、絶対に覗かないと断言はできないのでは。覗かれるのは絶対嫌なのに。さておき、物語は意外な展開を見せ、意外な読後感でした。2015/11/13
redbaron
8
そこに穴がある限り覗くのさ~ 読書するってことは、登場人物を覗いているものだしね。表紙の穴が丸すぎるのが気になりました←そこ?w2014/12/12