出版社内容情報
2003年の初版から改訂された本書は,初めてプライマリヘルスケア(PHC)に触れる人にもわかりやすく,その理念と実践例を伝えている.PHCとは,住民の主体的参加による地域の健康づくり活動の実現であり,人権としての健康を守ること,命を守ることである.
改訂では,新たに事例として,「国内編 3.現代日本の高校生を取り巻く性,エイズの現状に基づいた性教育の展開」「国内編 10.沖縄の公衆衛生看護婦制度-女性のエンパワメントと沖縄式プライマリ ヘルスケア活動-」「開発途上国編 1.開発途上国でのアセスメント」「開発途上国編 4.アジアにおけるHIV/AIDSケア・治療の拡大:包括的継続ケアネットワーク」「開発途上国編 6.農業における参加型健康リスク改善 ベトナムにおけるウインド(WIND)トレーニングの広がり」が書き下ろされ,世界の状況がわかる統計資料も加えられた.また,多くの原稿が加筆・修正され,より具体的な実践が伝わるようになっている.
保健や福祉,看護の学生や国際協力に関心を持つ人たちにぜひ読んでいただきたい.そして,地域の中で「住みよい街づくり」を考え,実践している人たちへの具体的なテキストにもなるはずである.
PHCは疾病・貧困・無教育の悪循環から抜け出すためにある 松田 正己
改訂にあたってと,本書の使い方
はじめに
Ⅰ.総論 21世紀のPHC実践 ―健康,権利,PHC,HFA21― 松田 正己
1.世界の動向
2.人権としての健康-その意味するところ
3.PHCからHFA21へ:20年間の変化
4.PHCの意味するところ:19世紀から21世紀へ200年間の変化
5.PHCの4原則
Ⅱ.事例
国内編 1.三ヶ日保健所における在宅痴呆老人対策 高橋 光代
国内編 2.地域ぐるみのエイズ予防展 高橋 光代
国内編 3.現代日本の高校生を取り巻く性,エイズの現状に基づいた性教育の展開 鈴木 千智 松田 正己
国内編 4.新潟県守門村の保健婦活動の歩みと精神保健福祉活動の展開 酒井 昭平
国内編 5.都市における住民参加と地域活動 PHCの視点からとらえ直す試み
和田ゆかる
国内編 6.住民組織の見方と活性化の方法 小山 修
国内編 7.やどかりの里活動史とPHC 藤井 達也
国内編 8.看護基礎教育課程における臨床実習とPHCの原則
基礎看護学実習に保健・医療・福祉施設の見学実習を導入して
菅原 スミ
国内編 9.PHC原則からみた保健婦駐在制
―高知県における保健婦駐在制の事例分析から― 大友 優子
国内編 10.沖縄の公衆衛生看護婦制度
-女性のエンパワメントと沖縄式プライマリ ヘルスケア活動-小川寿美子
開発途上国編 1.開発途上国でのアセスメント 奥野ひろみ
開発途上国編 2.住民参加型母子健康手帳プログラム
-インドネシア母子保健プロジェクトから-
奥野ひろみ 佐藤 善子 中村 安秀
開発途上国編 3.スリランカにおける「社会改革」の取り組み 和田耕太郎
開発途上国編 4.アジアにおけるHIV/AIDSケア・治療の拡大
:包括的継続ケアネットワーク 藤田 雅美
開発途上国編 5.包括的PHC活動におけるDRFとそのリーダーシップ像
東南アジア・ラオス国のコミュニティでの事例 小川寿美子
開発途上国編 6.農業における参加型健康リスク改善
ベトナムにおけるウインド(WIND)トレーニングの広がり
川上 剛 氏田 由可 小木 和孝
Ⅲ.講演 プライマリヘルスケア講演会
プライマリヘルスケアの理念と実際 クラッセ チャナウォン
資料 人口・社会・経済指標/死亡・教育・HIV等 資料:UNFPA世界人口白書2005より
資料 国際保健と国情分類 松田 正己 奥野ひろみ 鈴木 千智
おわりに