内容説明
無限遠の彼方から来て、かりそめにこの地球という遊星の人となった宇宙人多田智満子の骰子一擲、三十一文字との最晩の真剣な遊び。
目次
鈴懸
精霊飛蝗
母逝く
うつろ舟
くちなは
日蝕
ゆふしで
獅子座流星群
草の府
イタリア
フィヨルド
マヤ遺跡
緑陰
薔薇窗
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
cue.1
0
◯◎短歌形式ゆえの高揚感は弱いのに満足できる一冊でした。意味と主体意識を翻しては、生も死も自己も花びらのように踏み越えてゆく…死後刊行の歌集です。ときにはドキっとする状況も詠まれている。‘受胎告知’‘五連彈’。そして‘薔薇窗’から状況を俯瞰することで受けとめていく様子。または、永劫の‘薔薇’‘はなむぐり’‘くちなは’に身を溶かす。序盤に「フーコーの振り子」最後に「薔薇の名前」がモチーフに使われていて、書物と虚実の鏡を自在に渡り歩くような歌人に眩暈する。不死なのだろう。2015/02/09
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- 和書
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