内容説明
捕物小説の嚆矢『半七捕物帳』の各編を事件発生順に収録。詳細な註釈、年表も付け、半七の生きた江戸を浮かび上がらせたシリーズ。
著者等紹介
岡本綺堂[オカモトキドウ]
小説家、劇作家。1872年(明治5年)、英国公使館に勤める旧幕臣の長男として東京に生まれる。1890年(明治23年)、東京日日新聞に入社。やまと新聞社などを経て、24年間を記者として過ごす傍ら、戯曲「維新前後」「修禅寺物語」などを執筆し、新歌舞伎運動の劇作家として名を馳せる。1916年(大正5年)、海外探偵小説からヒントを得た『半七捕物帳』を書き始める。同書は断続しながらも21年間で69篇が発表され、捕物帳の元祖として現在も多くの読者を惹きつけている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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藤月はな(灯れ松明の火)
43
安政という災害や世情不安が見え隠れする中、男盛りの半七の油に乗った捕物譚が随所に見受けられます。同時にここから半七の活躍年齢と事件が起きた年代との擦り合わせしなければいけなくなった巻でもあります。「廻り灯篭」は代替わりしてから落ち目気味の岡っ引きが因縁を付けられたことで起こる騒動なのですが、題名が腑に落ちる程、巧いのだ。「幽霊の観世物」はお化け屋敷のお化けは本物だという江戸っ子の純粋さに吃驚。「半鐘の鐘」の真相は某探偵小説の祖を彷彿とさせずにはいられない。「海坊主」も妖怪譚と見せかけて意外な真相も鮮やかだ2025/03/17
チャーリブ
38
この本には8つの作品が収められていますがいずれも再読でした。その中の「川越次郎兵衛」と「金の蝋燭」には身投げの話が出てきますが、いずれも夫に報復するための身投げです。当時の大川(隅田川)は身投げの本場だったようで、女の身投げは助けるが、男は助けないという慣行があったとも書いてあります。男は覚悟の上だから救わないということらしいです。現代人の感覚ではとうてい承服できないことも書いてあるところがかえって興味深いです。今回も切絵図と見比べながら読んだので、時間がかかりました。○2023/04/30
mimi02
0
☆32021/01/13