内容説明
固定式矯正装置を装着することは、もはや難しいものではない。ところが、初心者にとっては、この装置を安全に効率よく使うことを学習するのは、容易なことではない。力学的な原理は比較的、平明なことであり、本書でも多くのページをこの話題に割いている。しかし、本書を執筆した目的は、まず固定式装置がどのように働くのかということを読者に理解してもらうところからはじめて、ついで装置の力学的メカニズムを生理学という観点から理解することにある。歯の矯正移動を行うときに発生する力の相互関係に十分な注意をはらって、はじめて装置は安全かつ有効に用いられるのである。本書は、固定式装置による歯の移動に用いられるメカニズムを中心に解説している。また、機能的、審美的、また術後の安定という面でベストの治療成績を得るためには、どのような位置に歯を移動するのがよいのかという点についても、本書は一般的な指針を与えるものである。
目次
固定式装置の応用範囲
アンカレッジ(固定)
ブラケット
アーチワイヤーと補助矯正装置
症例の準備
アーチフォーム(歯列弓の形)
装置の装着
顎内固定
顎外固定
初期の歯の配列〔ほか〕