感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
zunzun
3
今回のフィルカルの目玉、バーナード・ウィリアムズに興味があって購入した。この哲学者を研究している渡辺一樹によるコリングウッド紹介(ウィリアムズは彼の《「歴史哲学」=哲学解釈においてその歴史的な文脈、出自を見逃さない方法》から自身の系譜学の考えを得た)はさることながら、デカルトやニーチェの研究者によるウィリアムズへの応答が面白かった。残念だったのは特集の2と3で、2は音楽生成AIに全く興味がなかったこと、3はとりあげられた『ケアへの法哲学』を読んでいないので理解できなかった。これに関しては自分に問題がある。2024/09/10
愛楊
2
特集「音楽生成AIのELSI」を目的に読んだ。増田聡の論考は過去論文の焼き直し。「テクノロジーと音楽の結びつき」は生成AIを音楽史に乗せるという普通の試みで、生成AIと過去の音楽工学技術との違いについては技術の革新スピードがそれであるという穏健すぎる主張で面白くない。ただ、「死後に創作は可能か」という論考は独自性があり面白かった。作者の応答可能性によって名目的作者性を得うるという視点は新しいものだし、また作者ー作品関係の分析もきちんとされているし、良いのではないだろうか。ただ、生成AIに独自ではない。2024/09/17