内容説明
芭蕉は自然を詠む詩人として知られている。そして確かに、自然の中から慰めや、生きがい、時には生きるささえとなるものを見い出す彼の才能は、右に出る者がない。しかしながら彼の詩の多くは人が主役である。自然は彼のメディアであって目的ではない。絵描きとしてのぼくが求める芭蕉は、多くの場合と違うかもしれない。しかしぼくは今回の旅を企てた理由が、芭蕉のそれにとても近いものだと信じている。旅はおそらく日常生活の逃避であり、実のところは、彼が本当に愛した初句に専念するための口実ではなかったのだろうか。実際に芭蕉は、旅をしながら新しい素材を集めること、しかも過去の偉大な師と共に歩きながらそうすることが出来たのである。そのような旅はぼくの目的でもあった。自然を愛した偉大な先人と共に、五ヵ月間を歩くのである。なるべく曽良の日記のとおり歩いてみた。
目次
魚の目は泪
今も昔も1日40キロか
描くか歩くか、それが問題だ
1200年という時間
那須野の少女
「ここは観光地ではありません」
九尾の狐の池
夏座敷
殺生石
煮えたぎる地球と時鳥〔ほか〕
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- 和書
- 一発合格!二級建築士