内容説明
超大国のはざまで西独を舵取った「鉄の宰相」ヘルムート・シュミット。分断国家の苦難の中で西独の政局を主導した「経済と防衛の権威」シュミットの苦闘、栄光の座、そして…。世界平和へのあくなき追求、人間シュミットの全貌とその生きざまを衝く。
目次
第1章 青春と戦争
第2章 ボン、そして帰郷
第3章 防衛と統一
第4章 社民党院内総務
第5章 閣僚時代
第6章 首相時代―その初期
第7章 首相時代―頂点へ
第8章 首相時代―頂点を越えて
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
紙狸
20
1987年刊行。再読。英紙の記者による、西独政治家ヘルムート・シュミットの伝記(原著は85年刊行)。ロシア・ウクライナ戦争で揺れる昨今のドイツで、シュミットへの言及が増えている。経済と安全保障という、今まさに修正が必要な分野に強かったからだろうか。緻密にシュミットをウォッチしていた著者が、その業績をコンパクトに描き出した。1977年に発生したリフトハンザ機ハイジャック事件(「モガデシュの奇蹟」)のくだりでは当時を思い出した。シュミットは自著も多いけれど、首相シュミットを客観的にとらえるにはこの本がよい。2023/02/25