感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kasim
26
コンラッドのデビュー作。ボルネオの腐った花の匂いと滔々と流れる河の先のどこかにある(かもしれない)黄金。マレー人、アラブ人、蘭、英の覇権争いが底流にあるのだが、怠惰な主人公は自分のささやかな利益と夢しか頭になく、大局はどうでもいい。善良ではないが悪人とまでも言えない彼のゆっくりした破滅を皮肉に描く手腕はさすが。その彼が溺愛する一人娘には父の幻想は負担でしかない。娘ニーナと大酋長の跡継ぎデインの恋は美男美女のがっつりしたメロドラマで、父オルメイヤーの部分と対照的。2024/03/18
かふ
22
コンラッドのデビュー作。『闇の奥』ほど引っかからないのは、語り手の存在か?この小説では三人称でいわゆる神の視点と言われているのだが、マレーの植民地に黄金を求めるオルメイヤーと白人の父と原住民の母のハーフである娘の関係について、だらだら述べられていく。オルメイヤーの白人の植民地支配と娘のマレー人だという誇りの対立なのだが親子喧嘩のラブロマンスのようでそれ以上の話でもなかった。オルメイヤーの魅力が『闇の奥』のクルツほど感じないからだろうか?『闇の奥』ではクルツを尊敬するマーロウという狂言廻し(ガイド)がいた。2025/04/20
Tamy
0
人種差別感がすごくて疲れた。2009/10/29