激論!ひきこもり

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激論!ひきこもり

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  • サイズ B6判/ページ数 224p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784939015373
  • NDC分類 367.6
  • Cコード C0037

出版社内容情報

全国の家庭に出向き、ひきこもりを外に出す実践を続けてきたタメ塾・工藤定次。診療室で治療に当たってきた精神科医・斎藤環。これまで対立していると見られる二人はこの対談で初めて出会った。そして、それぞれの“哲学”を背景に、ひきこもりの本質、ひきこもりにどう向き合うか、解決するにはどうしたらよいのか、ひきこもりの終わりとは何か、といった、ひきこもりをめぐるさまざまなテーマに対して、10時間以上にわたって激論を交わした徹底討論集。

おそるおそるの依頼から 永冨奈津恵……003

●第1章 ひきこもりとの出会い………………012

●第2章 ひきこもりとは何か………………024
  ひきこもりの分類をめぐって
  いじめ・虐待によるひきこもり
  ひきこもりにおける男女差
  思春期の長期化
  ひきこもりは「何」が問題なのか
  ゴールはどこなのか
  ひきこもりの生きる能力

●第3章 ひきこもりと親子関係………………072
  第三者が介入するということ
  「待つ」ことの必要なのか
  訪問指導は親の怠けを生むのか
  親が変わらなければ子は変わらない
  親が変われないなら子を変える

●第4章  ひきこもりと援助活動…………108
  佐賀バスジャック事件の問題点
  訪問指導は「強制」なのか
  訪問指導の実際
  ひきこもりの援助をめぐって
  精神医療の問題点

●第5章  ひきこもりと就労………………160
  就労は目標になり得るのか
  選びとるのは誰なのか
  ひきこもりの自立率
  ひきこもりに向く職種は
  ホームレスでも自立なのか


対談を終えて
  工藤定

まえがき 永冨奈津恵
 
 「ひきこもり」に関心を持つ人なら、この本を見てびっくりするんじゃないかと思います。「タメ塾の工藤さんと斎藤環さんが、ホントに対談したの?」。私も、最初は「この二人が同じ場で語り合うなんてあり得ないんじゃないか」。そう思っていました。
 この二人を知らない人のために、どういう人なのかを簡単に説明すると……。
 工藤定次さんは、東京都福生市で「タメ塾」(「タメ」とは、工藤氏の愛称)という共同生活寮と、その母体となる「青少年自立援助センター(NPO法人)」を運営しています。工藤さんの実践は、訪問指導(家庭に直接訪問し、時間をかけてひきこもりの人を外へ導き出すという、ひきこもり援助活動の一形態のこと)、共同生活寮の運営、就労トレーニングと多岐にわたっていて、こうした活動をもう二十年以上行っています。ひきこもり援助の先駆者と言っていいんじゃないでしょうか。「タメ塾とはどんなところなのか」を知りたい方は、『お~い、ひきこもり』(ポット出版)を読んでみてください。タメ塾が行っている訪問指導の実際、寮生活の様子、さまざまな就労トレーニング手法、そして工藤さんがどんな考えを持って援助活動を行ているんじゃないかという偏見もあるのではないでしょうか。一方、親を通じて「ひきこもり」の人が通院するよう導くというスタイルを取っている斎藤さんには、本人の「やりたいこと」をきちんと尊重し、その手伝いをしてくれる「良心的なドクター」というイメージがあるようです。
 こんなにも両極端の存在として認知されている二人が対談する――だから、ちょっと驚くだろうと思うのです。(以下略)

 本書では「ひきこもり」への自分勝手な解釈や思いこみ、べき論からでなく、15年20年という長い間の事実の積み重ねの上で語られている。議論は人をどう捉えるか、社会の中で暮らすこととはどういうことかにまで踏み込み、そこから「ひきこもり」を見つめ、解決の道を探ろうとする。それゆえに、最近の安易に論調や軽はずみな救済に
ついては厳しく、出口のない闇をさまよっているに違いない「ひきこもり」やその家族に対しては優しい。長い間、特別な支援もなく「ひきこもり」と向かい合ってきた二人にとって、さまざまな意味で「格闘」であったということを、感じてもらえるのではないかと思う。
 発言の違いは、医師と民間という立場の差であり、それぞれのキャラクターの違いであることはもちろんだが、それだけでなく、30代後半の斎藤氏と50代前半の工藤氏それぞれが生きている“時代”が、安っぽい世代論としてではなく「哲学」ともいえる深さをもって、ときにぶつかり、ときに交差しているのである。
 工藤氏と斎藤氏という“異色”の組み合わせによって、ひきこもりに対するアプローチの新しい一歩を拓くことができたのではないか、と思っている。

内容説明

ひきこもりのことちゃんと話そう!まったく立場の違う現場に身を置き、これまで対立していると思われてきた二人が、ひきこもりの本質と解決に迫る。

目次

第1章 ひきこもりとの出会い
第2章 ひきこもりとは何か
第3章 ひきこもりと親子関係
第4章 ひきこもりと援助活動
第5章 ひきこもりと就労

著者等紹介

工藤定次[クドウサダツグ]
1950年、福島県生まれ。早稲田大学文学部、和光大学人文学部で心理学、社会学を学ぶ。77年、友人から引き継いだ学習塾にサリドマイド児を受け入れたことから、不登校児、障害を持つ子供など、さまざまな子供たちを受け入れるようになり、塾名も自らのあだ名・タメをとって「タメ塾」と改名。78年に初めてひきこもりの子供を受け入れ、以後、ひきこもりが共同生活を行うための寮、働くための作業場、外に向けた啓蒙のためのシンポジウムなど、一貫してひきこもりの自立を促す環境づくりを行うとともに、ひきこもりを家の外に出すきっかけとしての訪問指導に力を注いでいる

斎藤環[サイトウタマキ]
1961年、岩手県生まれ。筑波大学医学研究科博士課程修了。佐々木病院(千葉県船橋市)医師。専門は思春期・青年期の精神病理学、病跡学。精神科医の立場から「ひきこもり」問題の解決と啓蒙活動を続ける一方で、映画、漫画などのサブカルチャー全般についても積極的に発言している

永冨奈津恵[ナガトミナツエ]
1970年、福岡県生まれ。フリーライター。『お~い、ひきこもりそろそろ外へ出てみようぜ』(ポット出版)の制作に携わった1996年ごろ、はじめて「ひきこもり」という存在に出会う。「ひきこもりを考える会」(当事者・経験者、親、支援者のミーティング)に参加している
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ブルーツ・リー

5
昨日、儒教思想を擁護しちゃった手前、保守派の工藤とか言う人を擁護しなきゃならんのかも知れないが、二元論たって、引きこもりの人の最終目標を、全て就労に定めるやり方や、強引に寮に連れ去るやり方は、目的のためならば何をやってもいいという事にならないか。 大切なのは、自発性なのであって、自らの意志で、家から出よう!とか、仕事を始めよう!と思い、行動する事が大事であり、人から強制される類の事では無いのではないか。 環境と、体調とが整えば、自分から就労に向かうだろう…。 周囲にできる事は、環境を整えるくらいでは?2021/08/03

ケンジ スギモト

0
支援者や医療者側からの視点で当事者の視点がないのが難点だけども、あえて乱暴に云えば「刺激的」で面白かった。歯に衣着せぬ二人の本音の対話はひきこもり支援を巡る視点の違いも明示していて興味深い。特に全く知らなかった工藤定次さんという人の知性と魅力は抗いがたい。2011/06/19

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