内容説明
外来種新法の真実。バスをスケープゴートにした人々がいる。お粗末な日本の政治と科学を撃つ。
目次
第1章 やせがまんが日本の釣りを救う(ビッグマネー=ビッグフィッシュ?;“毛鉤発言”に思う;無謀でばからしい長良川河口堰;“一番おいしいサクラマス”を巡って;原発で事故でもあったのかな ほか)
第2章 魔魚狩り(ニジマスは好きか嫌いか;本多勝一氏への質問状―外来魚は日本の川や湖を侵略するか;父親はラージマウス、息子はスモールマウス?;メダカ、トキ、ブラックバス、そして純血主義;一億ブラックバス・ヒステリー ほか)
第3章 お粗末な政治と科学と、外来種新法
著者等紹介
水口憲哉[ミズグチケンヤ]
1941年生。東京海洋大学沿岸域利用論研究室教授。夷隅東部漁協組合員。原発建設や開発から漁民を守る“ボランティアの用心棒”として全国を行脚し続けている。千葉県夷隅郡岬町在住
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感想・レビュー
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Tomomi Yazaki
14
最近はブラックバスをはじめとする外来種のニュースは聞かない。当たり前すぎて、ニュースにならないから。それから、固有種の激減の原因がブラックバスだけではないことも分かってきたからでもあります。環境破壊による影響が大きく、それを後押ししたのが外来種。外来種のせいにしておけば火の粉が降りかからない人たちの隠れ蓑。本書でその構図がはっきり認識出来ました。漁獲の減少も漁業者や釣り人のタガが外れた欲の結果でもあります。ちなみに小魚をリリースしても魚は増えません。卵をたくさん産む、成長した魚をリリースすべきなのです。2024/02/05
更紗蝦
10
『魔魚狩り』というタイトルの「魔魚」とはブラックバスを指しており、行政やマスコミによって着せられたブラックバスへの濡れ衣を「魔女狩り」に例えています。在来種や絶滅危惧種を危機に陥れている本当の要因は「開発」と「汚染」なのに、行政やマスコミによる「ブラックバス害魚キャンペーン」によって開発の是非や汚染の実態を誰も追求しなくなってしまうという風潮を鋭く指摘しています。著者の水口氏はスリーマイルの原発事故以前から原発による海洋汚染の危険性に警鐘を鳴らしており、2005年出版のこの本でも原発問題に触れています。2016/02/08
まとり
2
在来種や絶滅危惧種を危機に陥れている本当の要因は開発などによる生態系破壊なのに、魔女狩りに例え、ブラックバス駆除キャンペーンを行っている行政やマスコミを批判している。だからといって、ブラックバスが「無害」なのか、ということについては、残念ながら触れられていない。伊豆沼周辺でブラックバス駆除を行ったところ、確実に在来種が増えているというニュース記事を見た。ブラックバス釣りとゴルフは同じ臭いがする。倫理観の問題である。