内容説明
「ソ連邦は今や存在しない」ゴルバチョフの悲劇は、民族のエネルギーに気づくのがあまりにも遅すぎたことだ。21世紀のソ連の未来を予言した大ベストセラーの完訳。
目次
第1部 無理解(帝国のためにどんなペレストロイカを;「マフィアクラシー」)
第2部 爆発(「カザフスタンをカザフ人に!」;カフカースのレバノン化;黒い日曜日;スーツケースか棺桶か)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
skunk_c
63
ちょうどゴルバチョフが出て東ヨーロッパからソ連が大きな変動期に入っている時期にタイムリーに出されたもの。上巻ではゴルビー中央政府の民族政策の拙さから始まり、中央アジアとザカフカスの複雑な民族・宗教構成とスターリン時代の強制移民、さらには各地の人口の増減などが絡み合って、まさにこの時期に民族的混乱と紛争が雨後の竹の子のように発生していたことを歯切れよく示している。特にザカフカスの3国とオセチア、ナゴルノ・カラバフ、アブハジアなどの複雑な絡み合いと相互関係が詳述されていてありがたい。移民政策の功罪も大きい。2024/11/21
印度 洋一郎
5
ソ連研究家ダンコースが、ゴルバチョフ政権後のソ連の民族(この場合、主にロシア人以外のソ連構成共和国の多数民族を指す)問題について分析した本。上巻では、カザフの反露暴動、アルメニアとアゼルバイジャンのナゴルノ・カラバフ問題、グルジアの激しい民族衝突等を取り上げる。これを読むと、ソ連が唱えていた社会主義による民族の融和は強権で抑えていただけだった事がわかる。ロシア人は自らを各民族を導き、まとめる紐帯だと思っていたが、各民族からは只の支配者で、自分達は植民地の民だという怨念が渦巻いていた。正にソ連は末期だった。2023/03/24
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