内容説明
近代ナショナリズム競争の結果としての「世界史のゲーム」が、いま終わりを告げている。そして、そこでこそ、世界に「原理主義」の風潮が、高まりつつある。その「原理主義」とは、いったい何か。
目次
原郷(パトリ)の引力 普遍の心性 (原理主義の現在)―20世紀の終わりに
プロローグ 原理主義という思想軸
現代を挾撃する原理主義
原理主義の成立
ナショナリズムと原理主義
カリスマの指し示す「原理」
二つの「革命」
「国粋」と「宗教」
原理主義革命の行方
「共感共苦」という精神
官僚制的合理化の“革命”
科学(技術)という「神」
自己肯定の衝動と「原理」
〈近代〉を超えて
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
うえ
9
「アラブ」主義というナショナリズム的な近代主義と、「イスラム」原理主義という社会主義的な復古運動の対立を描くのが八章。中東では復古が実は革新運動なのだというダジヤッドゥドがある。イスラム社会主義を説明する為のコーラン。「エジプトのサダト大統領が、その国内のイスラム原理主義者たち、ムスリム同胞団によって暗殺されたのは、一九八一年十月六日のことであった…こういったアラブ民族主義とイスラム原理主義との対立は、エジプトに固有のものではなかった。ムスリム同胞団と同種の組織が、アラブ世界の多くに存在するからである」2021/11/16
てれまこし
1
本書での原理主義の理解は一般的なものと違う。近代主義対ナショナリズムという対立軸を、三つ巴の関係にすることで右左の形而上学ではない現代史を掘り起こす手掛りにするものなんだ。そうはいっても、この3つは互いに入り混じる。肝心の近代主義と原理主義もくっついたり離れたりする。西洋=近代に対抗する文明の原理を掲げるはずの原理主義がそんな浮気性じゃ困るんだが、著者の西洋=近代の理解が個人主義と官僚制国民国家、原理主義の根っこは生活に根づいた民族のエトスという、定型的な対立から抜け切れてない。結局、原理は近代の陰画。2018/07/31
Yuki
0
揺り戻しが起きている現在だからこそ。2016/07/10
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- 和書
- 愛らしい加賀のゆびぬき