内容説明
日本において、夫婦別姓の主張は1980年代から本格化するが、1990年代に入ると、家族法改正の重要課題のひとつとなった。日本と同様に、ドイツにおいても、長い間、「夫婦同姓の原則」が維持されてきたが、1993年の民法改正によって、夫婦別姓を選択する途が開かれている。こうしたドイツにおける氏に関する判例・学説・立法の動向は、夫婦別姓の採用の可否をめぐって議論が続いている日本にとっても有益な示唆を与えるに違いない。本書は、ドイツ法における氏の変遷をとりあげたものである。内容は、1976年改正から1993年改正に至る、その間の判例・学説の検討を中心とし、選択的夫婦別姓の採用というテーマを中心とした。
目次
序章 問題の所在と研究の対象(氏の規制に対する改正の契機;研究の対象)
第1章 ドイツ1976年改正法における「氏」の規制(夫婦の氏;子の氏)
第2章 1976年改正以降の判例および学説の展開(夫婦同氏の合憲性―ドイツにおける合憲判断;婚氏未決定に際しての男子優先規定―ドイツにおける違憲判断;異国籍婚とその子の氏;「夫婦別氏論」の提唱―学説の動向;子の「氏」をめぐる動向―学説の展開;「通称使用」の許容範囲)
第3章 「氏」の規制に関する1993年改正(1993年改正の概要;1993年改正法の到達点と問題点;日本法への示唆)