感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
roughfractus02
8
暗黙知と経験知を混同するのは、暗黙知が経験から離れた対象を指示する際にも見出され、そこに実証性や客観性のような価値を付与して精密さを装う科学でも対象指示する側の方法の主観性(個人的知識)が潜在する、という場合を想定しないからだ。形式知と方法知が分離不能な創発の場面を具体的に扱う本書は、カントール、フレーゲ、マッハ、アインシュタイン、パウリ、マカロックと広範囲の科学領域に渡り、その本質にある分節性が対象を作り出す方法と不可分であるような発見の場面を列挙して、その境界を往来する「不意の確証」の動きに注目する。2020/08/24