内容説明
ダムや河口堰の建設、湖沼の水ガメ化など、何百、何千億という巨額の費用が投じられる水源開発事業は本当に必要なのだろうか。本書は、この疑問にさまざまな角度から答えている。慢性的な水不足というキャンペーンが虚構であることを明らかにする「つくられた渇水」。都市の重要な自己水源である「地下水」の利用などなど。水系を改変する土木事業が地元住民の生活や川・湖の自然に与える影響、ひいてはその事業の恩恵を受けるとされる都市住民にどんな被害をもたらすのか。豊富な資料や調査をふまえ、水の浪費を放任する水行政を検証し、将来の水利用のあり方を提案する力作。
目次
序章 虚構の水行政
第1章 ダムの過大放流
第2章 河川維持用水のまやかし
第3章 非合理的な水利権
第4章 ずさんな工業用水行政
第5章 水の浪費を放任する水道行政
第6章 誰のための農業用水事業か
第7章 水源開発は必要か
第8章 ダムで洪水の氾濫を防げるか
第9章 水道原水の水質悪化
第10章 誰が開発事業のツケを負うのか
第11章 森林伐採、ダム堆砂、温暖化の影響
第12章 切り捨てられる地下水
第13章 地下水汚染問題のとらえ方
第14章 失われた自然を取り戻すために