内容説明
甦る巧みな物語。全集未収録の珠玉の作品集。
著者等紹介
長坂聡[ナガサカサトシ]
1925年中国上海市に生まれる。’50年東京大学経済学部を卒業。元・東京教育大学・大分大学・名城大学教授
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
りつこ
21
生真面目で頑なで幸せになれないことが運命づけられているような人たち。常に自分の内側ばかり見つめているから誰かとわかりあえたりすることもないし、間違った相手を選んでしまって常に孤独。時代も国も宗教感も違うのにいま読んでもまるで古びていない。特異な人間を描いているにとても普遍的。正しいことが書いてあるわけではないけれど、正しくありたいと願う。これぞ文学だと思う。素晴らしいなぁ。2014/11/05
ぺったらぺたら子
16
見事に殆どの作品が死、特に自死で終わるという通勤中の読書にぴったりな短編集である。自我の成長とはosのアップデートに似ているのだけれど、アップグレードに近い事がある際、古いOSが叛乱を起こす事もある。幼児性が強かったり、古い自我に執着が強いと、それを擬人化し、成長=過去を否定しての上書き、という行為を、自己そのものの死と捉えてしまう、、、、、、、こちらにウルフや漱石と絡めたレビューを⇒ https://booklog.jp/users/hurdygurdyman/archives/1/49383912522019/02/06
まどの一哉
2
「猩紅熱」:まだまだ少年の面影が残る若きベルガー青年。大学に進学してウィーンに暮らすが、性格がおとなしく酒やタバコにも馴染めない彼は他の学生からバカにされっぱなしである。ベルガー君、自分以外のものに憧れるな。人それぞれ。自分だけの人生を自信を持って歩め。 「エーリカ・エーヴァルトの恋」:古典文学に登場する女性は男性が好む淑女ばかりで、勝ち気で自己主張する女性は先ずいない。ツヴァイクは古い作家ではないが、この女性(エーリカ)はおとなしすぎて行動より観念が過多。ために全てが遅すぎて恋をのがすタイプ。2024/01/11
ますん
0
ホントに相変わらずツヴァイクには毎回引き込まれる。萩尾望都にマンガ化してほしい。2015/01/19
地雷原
0
「猩紅熱」、ひどい、それはひどい。あらすじだけ書いたら笑い話かと思うほどひどい。「リヨンの婚礼」も歴史の圧力を描き出していて好きだが、「昔の借りを返す話」が素晴らしい。プライドは大事である。2014/01/04