出版社内容情報
《内容》 本書は,身体運動 (acute and chronic) の力学的,神経生理学的,エネルギー代謝的,生化学的刺激が生体諸機能にどのような適応をもたらすのか,また,退化的順応を呈した生体諸機能の可逆性について最新の文献的レビューをもとにまとめたものである.斬新な企画テーマを,国際的に著名な学者や新進気鋭の方々に執筆を依頼することで,運動生理,応用生理学分野に新風と響きある小さな一石を投じたいと思っている.豊富な最新文献と“まとめ”の図を要所要所に配した視覚・直感的な内容にしたいと企画した.本書が応用生理学,運動学の未来に光を放つ可能性に満ちているとすれば,それはご執筆くださった諸先生方の学問に対する情熱と努力の結果によるものである.本書が,デカルト症候群に罹らないユニークな研究をするための参考になれば非常に光栄である.
《目次》
主要目次I.運動と生体諸機能の適応1.骨格筋細胞の適応:運動に対する収縮装置の適応変化/運動に対するエネルギー産生装置の適応変化2.心筋の適応:形態的適応/機能的適応/冠動脈における適応/心筋代謝の適応/組織学的所見からみた心筋の適応/神経体液因子の適応/遺伝的な要因の関与3.呼吸循環システムの適応:呼吸循環システムとその役割/一定強度運動開始時の・VO2動態/トレーニングによる呼吸循環システムの適応4.神経・筋システムの適応:運動単位/トレーニングと神経・筋の適応5.骨格系システムの適応:運動の効果の特色/骨の生理的機能/運動の効果を媒介・修飾する要因/組織および細胞レベルからみた運動の効果/運動のメカニカルストレスを介した骨量変化のメカニズム6.大脳皮質システムの学習適応:運動野/補足運動野/頭頂葉/前頭前野II.運動と生体諸機能の可逆性1.骨格筋萎縮の可逆性:骨格筋の萎縮の機構/筋萎縮とモデル/骨格筋の萎縮と筋線維数/骨格筋の萎縮に伴うサテライト細胞と細胞核の変化/骨格筋の萎縮と筋線維タイプ/筋萎縮に伴う筋原線維,筋鞘および細胞間質タンパク質の変化/骨格筋の萎縮と収縮装置構成―タンパク質の変化/不活動による骨格筋萎縮の機構/骨格筋の萎縮とインスリン/骨格筋の萎縮とグルココルチコイド/骨格筋の萎縮と再トレーニング/骨格筋萎縮と筋結合組織の変化2.心筋の可逆性:運動中止に伴う心形態の可逆性/心臓疲労/老化に伴う心臓の変化と運動/運動トレーニングによる心疾患患者の心機能の変化3.糖代謝の可逆性:運動による糖輸送活性化/運動によるインスリン感受性の改善/糖尿病の成因からみた運動の意義/インスリン抵抗性改善の臨床的意義/糖尿病の新しい診断基準/運動処方4.肥満の可逆性:体組成の改善/糖・脂質代謝の改善/肥満と自律神経活動動態/肥満者における熱産生能力の可逆性/肥満研究update5.高血圧の可逆性:体力,運動習慣と高血圧罹患率/一過性の運動後の血圧低下/一過性の運動後の降圧機序/習慣的運動の効果/降圧効果の機序6.動脈硬化の可逆性:血管の構造/血管と物理的刺激/運動の血管への影響/運動と動脈硬化/今後の展望7.高脂血症の可逆性:高脂血症とは/血清脂質に影響を与えるタンパクとそれに及ぼす運動の影響/運動の血漿リポタンパク濃度に及ぼす影響/脂質代謝異常を有する症例における運動効果8.脳・自律神経機能の可塑性―運動野ニューロンの可塑性―:個体レベルでの学習/長期増強9.神経・筋システムの可逆性:神経・筋接合部の可逆性/骨格筋の可逆性/電気刺激による神経・筋システムの可逆性
内容説明
本書は、身体運動(acute and chronic)の力学的、神経生理学的、エネルギー代謝的、生化学的刺激が生体諸機能にどのような適応をもたらすのか、また、退化的順応を呈した生体諸機能の可逆性について最新の文献的レビューをもとにまとめたものです。
目次
1 運動と生体諸機能の適応(骨格筋細胞の適応;心筋の適応;呼吸循環システムの適応;神経・筋システムの適応 ほか)
2 運動と生体諸機能の可逆性(骨格筋萎縮の可逆性;心筋の可逆性;糖代謝の可逆性;肥満の可逆性 ほか)