内容説明
貧しさから遊郭へ身売り。さらに沖縄戦で慰安婦にならざるを得なかった女の哀しみ、時代に翻弄されたその生きざまを取材をもとに描きあげた著者会心の作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
二人娘の父
6
沖縄戦時、辻遊郭で遊女(ジュリ)だった人物のひとり語りによる、小説の形を取った作品。合間に史実解説や写真なども入るので、ドキュメンタリー要素も強い。沖縄に32軍が配属されてから、急激に増加した在沖日本兵の「慰安婦」として働かざるを得なかった経過がよく分かる。著者は、遊女たちにとって戦争とは三つの側面があったとまとめる。「県民としての戦火体験」「日本兵慰安婦としての体験」そして「貧乏との戦い」。それぞれが、関連し合い、当時の遊女たちの置かれていた環境を、リアルに感じ取ることができた。2024/04/12
憂歌
1
時代に翻弄されたジュリ(遊女)たちの生き様。一人のジュリの語り口調で物語は進んでいく。読みやすく没頭してしまった。辻遊郭から慰安所へ・・・ジュリたちの行動を通して、沖縄戦の流れもわかりやすい。2022/04/20