内容説明
「木屑録」は、漱石が二十三歳のときに書いた房総旅行記である。これまでも存在は知られていたが、「漢文」で書かれているために、読まれることは少なく、まして味わわれ評価されることは稀な作品であった。本書は自在な訳文によって、「木屑録」本来のすがた、味わいを初めて明らかにしただけでなく、執筆の契機となっている漱石と子規の、文章を通しての友情に説き及ぶ。さらに、見事な「漢文」を書いた漱石から話題は発展して、日本人と「漢文」の千年を越える関わりをわかりやすく解説している。
目次
木屑録訳
漱石と子規
「漢文」について
日本人と文章
木屑録をよむ
木屑録自筆稿本写真版
木屑録活字版