内容説明
グレン・グールドは漱石の「草枕」を愛読していた。時空を超えて共鳴するふたりの人生観、芸術観とは?個性溢れる8人が縦横に論じる。
目次
はじめに、または漱石とグールドと対位法(横田庄一郎)
グールドと「非人情」(アラン・ターニー)
北のピアニストと南画の小説家(サダコ・グエン)
グールドと『草枕』の旅(ジョーン・ヘブ)
グールドと『草枕』私論(石田一志)
レコードアーティストとしてのグレン・グールド(相沢昭八郎)
非人情の脳内機構―グールドと漱石の共通感覚(河村満)
「語りの場」としての『草枕』―朗読、漱石、グールド(長谷川勝彦)
グレン・グールドを聴く夏目漱石(樋口覚)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ペッパー
1
グールドはレコード録音のとき、ピアノにあわせて歌う。あえて日常の音がするところで練習し「音」を吟味しようとした人だった。つまり「雑音」を必ずしも消去すべきものとは思っていなかった。『カーライル博物館』における漱石の雑音に対する考え方とともに、近代という時代の性質にも深く関係している。また宮崎駿監督も草枕を愛読しているひとりだ。絵を描くときに下書きをしないそうだ、つまり整うことを目的としていない。生物から発せられるランダム性や歪みを「雑」として排除する先に何が残るのか。2024/04/18
Sadaomi Nishio
0
漱石の草枕を読み返し、グールドを聴く、きっかけとなった。2012/06/02